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 昨今、CO2の排出を制限する「カーボンニュートラル」という言葉が聞かれるようになったが、「これで短期的には目標は棚上げだろう」と経済誌記者は話す。

ロシアLNGが調達できなくなったら日本は…?

「天然ガスは“ブリッジエネルギー”と呼ばれ、CO2の排出量が石炭に比べ少ない。CO2排出量が高い石炭と、まだまだ発電量が少ない再生可能エネルギーの“橋渡し”と捉えられていたのです。日本では2011年に東日本大震災が起こり、発電量の2割を占めていた原発が使えなくなりました。

 その代替として期待が高まったのが、天然ガスでした。再エネとの相性もバッチリで、例えば太陽光発電なら、お天気次第で供給に波がありますが、石炭は稼働に3日ぐらいかかるのに対し、天然ガスは数時間で動かせる。供給量が調整しやすかったのです。

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 EUはロシアと地続きだったためパイプラインの天然ガスを使ってきましたが、これからはアメリカやオーストラリアなどからLNGで運ばざるを得ない。LNGの調達価格は上がりますし、そうなれば確実に日本の生活にも跳ね返ってくるのです」

©️getty

 有名企業が“抗議の撤退”を進めるなか、各国政府の“制裁”は今ひとつ及び腰といわれる。今後はロシアの2つの武器の攻略を見極める手腕が問われそうだ。