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 症状は急速に悪化して、血圧の低下や意識障害、失禁などを伴うショック状態に陥る危険性があります。生命に関わりますから、一刻を争います。

 アナフィラキシーの治療に最も有効とされるのが、アドレナリン自己注射薬エピペンⓇです。アナフィラキシーの既往がある、あるいはリスクの高い患者さんに処方されるもので、アレルギー症状の進行を止め、気道の拡張や血圧の低下を改善するなどして、医療機関を受診するまでの間に症状の進行を一時的に緩和する補助治療薬です。

写真はイメージです ©iStock.com

 次のような症状が1つでもあったらアナフィラキシーショックが疑われますので、処方されている人はすぐに打つべきです。

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 その症状とは、犬が吠えるような咳、持続する強い咳き込み、声のかすれ、息がしにくい、喘鳴、くり返す嘔吐、我慢できない腹部の痛み、喉や胸が締め付けられる、唇や爪が青白い、脈が触れにくい、脈が不規則、意識がもうろうとしている、ぐったりしている、尿や便を漏らすなどです。

 エピペンⓇを打ったら、すぐに救急車を呼び、医師を受診するなど、適切な初期対応が必要です。保育所や学校などにおいて本人がエピペンⓇを打てない時は、その場に居合わせた人が本人に代わって打っても医師法違反にはなりません。

成人食物アレルギーに多い2つの病型

 成人食物アレルギーのうちの特殊型に入るのが、食物依存性運動誘発アナフィラキシーと口腔アレルギー症候群です。

●食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)

 原因となる特定の食物を摂取した後2時間から最大4時間以内に、ランニングなどの運動をするといった二次的要因によって、即時型食物アレルギー反応からアナフィラキシーをきたす疾患です。学童期から成人まで、幅広い年齢層に見られます。

 加水分解小麦を含んだ“旧茶のしずく石鹸”の使用により、多くの人が発症したのも小麦依存性運動誘発アナフィラキシーでした。