新幹線に乗る際には事前に報告が必要?
主に関東を中心に活動している6代目山口組系幹部は「新幹線に乗る際には本部に報告するよう通達が出ている」と警戒ぶりについて打ち明ける。
「例えば東京駅で東海道新幹線に乗って西に向かう場合、警戒区域内となっている名古屋駅や新大阪駅に到着した際に、偶然、同じ新幹線に5人の組員が乗っていた場合、警察に『5人で集まったな』と強引に逮捕されるかもしれない。だから新幹線に乗る際には事前に報告が必要だ。もしほかの組員から先に利用申請があれば、予定していた新幹線をあきらめて時間をずらして遅らせて乗ることになる」
警察が、「抗争のために5人以上で集まったのだな」「抗争のための事前謀議のために集合しているはずだ」と理屈をつけてくることへの用心だという。こうした警戒は特定抗争指定暴力団と指定されてから2年が経過し、3年目となった2022年に入っても続けられている。
6代目山口組や神戸山口組の拠点が多い関西や東海地方では、高速道路の使用でも本部への報告が義務付けられている。警戒区域内の本部事務所などは使用できず、会合などは区域外の施設で開催されるため、車での移動となることが多いという。この際に、高速道路上を複数台で車列となって移動すると「5人以上」の規則に抵触する危険性がある。
警察の取り締まりを回避するための対策について、6代目山口組の動向に詳しい関係者が内情を説明する。
「会合の目的地まで複数の車で高速道路を利用する場合は、車の前後の間隔をあけるようにしている。例えばインターチェンジなどの通過では、車の前後で10分や15分程度、時間をずらして通過する。こうした手配をする担当者を決めていて、この担当者の指示通りに車列を移動させる」
6代目山口組系幹部だけでなく多くの暴力団構成員たちが「バカバカしいことで逮捕されることは本当にバカバカしい」と口を揃えるように、特定抗争指定暴力団の構成員であるというだけで、警戒を怠ったことによって逮捕されることを避ける用心がうかがえる。
結果的にこの2年余り、特定抗争指定暴力団としたことで双方の活動は大きく制限されている。そのため、警察当局の幹部は、「おおむね5人以上での集合の禁止や、事務所の立ち入りの禁止などは大きな成果が出ている」と主張している。