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道仁会と九州誠道会には大きな成果

 他に対立抗争状態にある暴力団が特定抗争指定されたケースとして、いずれも福岡県を拠点とする道仁会と九州誠道会(現・浪川会)の前例がある。

 道仁会の内部対立から一部グループが2006年に離脱して九州誠道会を結成。その後は対立抗争事件が続発した。約50件の事件が発生し、一般市民を含む14人が死亡。6代目山口組から離脱した神戸山口組との構図と重なる。

 対立抗争状態を抑え込むため、道仁会と九州誠道会の双方は2012年12月、特定抗争指定暴力団に指定された。特定抗争指定暴力団としての厳しい規制下となった効果は大きく、対立抗争事件の発生はピタリとなくなった。

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 事件を起こすどころか事務所への立ち入りが禁止されたため、「幹部らの会合が開けなくなり、双方とも組織としての統制が取れなくなり組織が弱体化した」(警察庁幹部)という。こうした経緯を踏まえ、両組への特定抗争指定は2014年6月に解除された。指定期間は1年半余りだった。

抗争やまぬ、6代目山口組と神戸山口組

 道仁会と九州誠道会の場合は規制の結果として対立抗争事件の発生は止まった。だが、6代目山口組と神戸山口組の場合は、2020年1月に特定抗争指定されて以降も、事件がなくなるどころか、事件の発生が続き警戒区域は増加している。その結果、特定抗争指定期間の最長記録を更新している。

写真はイメージです ©iStock.com

 2021年8月には神戸山口組幹部が神戸市内で銃撃される事件が発生。銃弾は足をかすめただけだったため幹部は軽傷だったが、神戸市は警戒区域となっているため、警察当局の神経を逆なですることとなった。特定抗争指定から2年が経過した2022年1月には、水戸市内の6代目山口組系事務所を男が訪問。応対に出た幹部が射殺される事件も発生した。

 警察当局の幹部は、「対立抗争が原因で起きた事件なのかどうかは今のところ不明だが、いずれにしても6代目山口組の分裂に端を発した事件であるはずだ。6代目側と神戸側の特定抗争指定はまだまだ必要だ」と厳しい視線を向けている。