6代目山口組が2015年8月に分裂して、離脱グループが神戸山口組を結成したことで、「山口組」を名乗る組織が2つとなった。両組が対立抗争状態に突入して、今年で8年目となる。この間、多くの対立抗争事件が引き起こされるのと並行して、さらなる分裂・離脱劇が相次ぎ、山口組から分派した新組織が次々結成されるといった経緯をたどってきた。

暴対法と暴排条例施行の成果は…?

 これら国内の主要な暴力団は、1992年3月に施行された暴力団対策法(暴対法)に基づいて「指定暴力団」に指定されている。

 指定暴力団とは、(1)暴力団としての組織の威力を用いて資金獲得活動を行っている(2)構成員に一定比率以上に犯歴所有者がいる(3)組長をトップに組織がピラミッド型の階層を形成している――といった3要件を満たした場合、都道府県の公安委員会によって指定される。

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 現在、指定暴力団となっているのは、6代目山口組や住吉会、稲川会など全国の25組織。彼らは繁華街の飲食店などからみかじめ料や用心棒代などの徴収が禁じられるほか、対立抗争状態となった場合には事務所の使用制限などが科せられる。みかじめ料などを要求したことが判明した場合には、まず“中止命令”が出される。応じない場合は再発防止命令となり、それでも違反すれば逮捕されることとなる。

写真はイメージです ©iStock.com

 首都圏で活動している指定暴力団の古参幹部は暴対法の施行当時の状況をこう振り返る。

「(暴対法の施行で)“中止命令”が出されることとなっても、恐喝で逮捕されるよりはよかった。だから当時は命令が出ても『ハイ、分かりました』と素直に応じた。ただ、『面倒なことになったな』と思ったことは覚えている」

山口組弘道会本部で「特定抗争指定暴力団」に指定されたことを示す標章を貼る愛知県警の捜査員 ©時事通信社

 近年は暴対法に加えて、2011年までに全国で整備された「暴力団排除条例(暴排条例)」の影響もあり、社会からの暴力団排除が進み、暴力団構成員数は減少の一途をたどっている。国内最大組織の山口組も同様だ。ある指定暴力団の幹部は「山口組分裂の対立抗争は消耗戦のようなもの」と嘆く。

 実際に暴排条例施行前の2010年の6代目山口組の構成員数は約1万7300人だったが、その後は右肩下がりに減少。2015年の分裂時には6代目山口組が約6000人、神戸山口組が約2800人となっていた。そこから絆会や池田組、何よりも主力だった山健組の脱退などもあり、神戸山口組の勢力縮小はさらに進んでいるとみられる。