昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

『プーチン愛人とぎっくり腰』 現実が「東スポ化」する異常事態…ウクライナ侵攻を東京スポーツはどう報じたか

2022/03/22

 私の持論に「世の中が乱れると、東京スポーツと朝日新聞の見出しが同じになる」というのがある。新聞はキャラが違うからおもしろいのに一般紙も東スポも一面の見出しが同じになったらいよいよ深刻なのだ。

 私がこれまで最も印象に残っているのは1995年3月20日のオウム真理教による地下鉄サリン事件からの一連の報道だった。

独自路線を突き進む「東京スポーツ」(1月14日) ©プチ鹿島

 オウムは自分の組織に「外務省」とか「大蔵省」などと省庁の名前を付けていた。子供じみていた。しかし、ひとたび凶悪なテロ事件を起こすと『オウム科学技術省がサリン製造か』という見出しが朝日や読売にも掲載されたのだ。衝撃だった。事件を起こしたことで、まぬけに思えたネーミングもふつうに報じられ始めた。東スポがおどろおどろしく書いていたものが一般紙も同じように報じざるを得なくなってしまった。ただただ深刻さを感じたのである。オウム科学技術省って何だよ……。

東スポが報じなければ「まだ安心」

 逆パターンもある。一般紙では深刻な見出しが続くときでも東スポが全然違うネタを報じているときは「まだ安心」と思える時がある。一種の自由さのバロメーターでもある。

 たとえば今回のロシア報道はどうか。2月末にプーチンがウクライナ侵攻をすると、一般紙だけでなくタブロイド紙(日刊ゲンダイや夕刊フジ)も騒然となった。キオスクでの広告を見てみよう。

 2月24日(木)

『ウクライナ非常事態宣言 首都攻撃も』(夕刊フジ)

『緊迫 バイデンお手上げ 勝算高笑い』(日刊ゲンダイ)

 写真はどちらもプーチンの顔を大きく載せている。緊迫している様子がわかる。

 一方、東スポは『森咲智美 魅惑のメンズエステ』だった。まだ大丈夫だ。