軽い気持ちで行った面接が、AVへの入り口だった
――「女であることが武器」にならなかった。
澁谷 そうですね。春にトレンチコートを着ていくと「女はおしゃれできるから仕事取れるんだな」って言われたり、名刺交換していただけなのに、「あいつ選手に小さい紙渡してたよ」って噂されたりしましたね。
その時に生まれて初めて、女性の生きづらさを感じました。それまでは女子校だったので、女子の方が強い中で生きていたんですよ。だからよくも悪くも「女」であることを意識したことがなかったんですが、その時に初めて、今までいかに恵まれた環境にいたかを実感しました。
何か成果を出しても「女を出して仕事したんだろう」と言われて、逆に失敗すると「これだから女は」って。何をしても褒められないんですよね。それがすごく苦痛でした。
――それで記者を辞めてAV女優の道へ行こうと。
澁谷 いえ、AV女優になろうと思ったわけではないんです。スポーツ新聞の記者は一面の記事を書かせてもらえるようになったところで辞めて、編集や校閲の仕事をしたり、得意だった英語を生かして英語教師をしていたんです。その時に、他に新しいことを始めたくなって、面白い副業がないか探していました。そしたらネット上に「アダルトグッズモニター」の求人があったので、すぐに応募しました。
名前的にアダルトグッズを使用して感想を書くような仕事だろうなって、軽い気持ちで面接に行ったんですけど、どうやらそれがAVへの入り口だったみたいで。
AV女優になりたいとは思っていなかった
――AV女優の勧誘をされたと。
澁谷 直接的に「AV女優になりましょう」と言われたわけではなくて、そこに登録すれば簡単にできる高収入アルバイトを紹介しますよって。ヌードモデルや撮影会モデル、AVのエキストラなどいろんな仕事があったんですよ。
いくら好奇心旺盛の私でも「AVはちょっとハードルが高いな」と思いましたけど、やたらと面接を担当した女性が、AVのエキストラの話ばかりしてきて。それに根負けして登録して、宣材写真を撮ることになったんです。
――どんな宣材写真を撮ったのでしょうか。
澁谷 普通の宣材写真のイメージで行ったら、「まずは脱いでください」って言われて、下着姿の写真とフルのヌードの写真を撮影しました。その時に、「おやおや? もしかして私AVへの道に進んでいる?」と少し不安な気持ちもあったんですけど、人に話すネタになるし、まあいいかって。