澁谷 その時点では好奇心の方が勝っていたんですよね。AVの世界は全然詳しくはなかったんですが、メディア時代の同期に元AV女優の方がいて。遠い世界だと思っていたAV女優がわりと近くにいるんだなとは感じてはいたんですけど、だからと言って自分がなりたいとは思っていませんでした。
「ここまできたら逃げちゃダメだからね」と言われ…
――でも登録したその日に脱いでいるんですよね。
澁谷 急展開ですよね。アダルトグッズのモニターをするはずが、なぜかAV用の宣材写真を初日に撮られるなんて。でも、登録しただけでAV女優になれるわけではなかったので。
そもそも、私みたいな20代半ばの女性が求められることはないだろうなと思っていました。AV女優さんって18歳とか20歳くらいでデビューするイメージだったので、私に価値はないだろうなって。でもその後、意外と「面接に行こう」って声をかけてもらえて。それでいろんなAVメーカーを回って、面接をしました。
――その時はすでに、AV女優になる覚悟はできていたのでしょうか。
澁谷 そうですね。今は、AV出演強要問題が取り沙汰されるようになったので断れると思いますが、当時はAV事務所の人から「ここまできたら逃げちゃダメだからね」って言われて。断って追いかけられたりしたら、そっちの方が怖いなと思って覚悟を決めました。
それに昔から大きい胸がコンプレックスで、隠していたんですけど、思い切って胸を強調するお仕事をすれば楽なんじゃないかとも思ったんですよね。それでいくつかのAVメーカーを回って、一番ギャラが高かったAVメーカーの企画に出演することになりました。
行為自体あんまり好きにはなれなかった
――AV女優としての道をスタートさせるんですね。
澁谷 そうです。最初の撮影はすごく緊張しましたね。何もわからなかったので、迷惑をかけないように必死でした。私は清純派として売り出されたので、とにかく話さないことを心がけました。
――もともと性に対しては開放的な方だったのでしょうか。
澁谷 全然ですね。初体験も遅かったし、周りは女の子ばかりだったので、「エロ」に対する免疫はあんまりなかったです。家も学校も厳しかったので、すごく真面目だったんですよね。
それこそ記者になってからは、親に「仕事で遅くなるから」と言い訳ができるようになったので、好奇心からいろんな方と関係を持ち始めました。学生時代に押さえつけられた反発なのか、社会人になって50人と関係を持ったんですが、行為自体あんまり好きにはなれなかったんです。