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できれば30代前半で「売れたい」

 朝ドラのヒロインという大役ながら、ひなたはこれといった特技もない、どこにでもいそうな女性である。そんな彼女が、大好きな時代劇のためなら、あれこれとアイデアを練ったり、一旦はやめた英会話も、いずれ必要になる日が来ると気づくや再挑戦したりと、とことん力を入れるからこそ、視聴者の共感を得ているのだろう。

『カムカム~』のプロデューサーからは《絶対に役者を辞めなそうだから(引用者注:ヒロインに)選んだ》と言われたという(※4)。かねてより俳優を長く続けていくことを目標に掲げ、そのために調子に乗らないよう心がけていると語ってきた彼女にとって、これほどうれしい言葉はないだろう。

『川栄李奈 酒都・西条へ。』(ザメディアジョン)

 いまでも十分に売れっ子といえるが、彼女に言わせれば、「売れている人」とは、《主演じゃなくても注目される脇役をやって、その後1年ぐらい作品に出なくても、また次もいい役を任せてもらえる人》であり、自分はまだその域には達していないという。それでも《できれば30代前半で「売れたい」と思っています》と、静かに情熱を燃やす(※5)。

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 先月12日に27歳の誕生日を迎え、30歳まであと3年。それまでにどんな展開を見せるのか、『カムカム~』のあとも川栄李奈から目が離せない。

※1 川栄李奈『これから』(幻冬舎、2016年)
※2 『日経エンタテインメント!』2018年2月号
※3 『with』2019年5月号
※4 『週刊文春』2021年12月2日号
※5 『AERA』2021年1月25日号