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監督賞は全員一致で

メラニー 監督賞はジェーン・カンピオン(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』)ですね。今まで発表された賞でも圧倒的に強いですし。『ピアノ・レッスン』(93年)以来2回目のオスカーノミネートで、前回は『シンドラーのリスト』(93年)が強すぎたうえに、スピルバーグも満を持しての受賞だったので、ノミネートされることだけで充分って状況だったんですけれども、今回は監督としての実力もそうだし、作品の実力も前哨戦での受賞歴もすべて合わせて彼女しか考えられないと思います。

猿渡 彼女、12年ぶりのビッグスクリーンのカムバックですよね。ちょっと前まで女性が監督賞なんてありえなかったので、去年のクロエ・ジャオに続いてジェーン・カンピオンと2年連続で獲れば、2016年から多様化を謳っているアカデミーとしては自画自賛になるでしょうね(笑)。

町山 アカデミーの監督賞の選び方って「この人を巨匠として認めるかどうか賞」なところがあるんですよね。これに選ばれるとエリートのグループに入れるかどうかみたいなところがあって。ジェーン・カンピオンの場合、『ピアノ・レッスン』のあと次から次に作る作品が叩かれて、映画作れなくなるぐらいボロッかすでしたよね。『イン・ザ・カット』(03年)とか。

猿渡 あれは映画がひどかったからしょうがない(笑)。

メラニー 『ホーリー・スモーク』(99年)もかなりのものでした(笑)。

Ms.メラニー氏。アカデミー賞予想の奥深さを知らしめた第一人者

町山 だから見事な復活に対する敢闘賞的なものが動くんじゃないかなと僕は思います。昔、スピルバーグが『シンドラーのリスト』で獲った時は「ここまでよく頑張りましたで賞」だったし、スコセッシがやっと『ディパーテッド』(06年)で獲った時も「いい加減に監督賞あげないとまずいで賞」だったり、作品の出来よりそういう部分が動くんです。

 あと、監督賞は俳優たちにとって「この人の映画に出たいで賞」でもあるんです。なのでジェーン・カンピオンはみんなに拍手で迎えられるかたちで獲るんじゃないかという気はしますね。

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