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『ドライブ・マイ・カー』が受賞するには

メラニー 注目は『ドライブ・マイ・カー』ですね。去年は本当に濱口竜介監督の年でした。カンヌで脚本賞を獲る前、まず3月にベルリン映画祭で『偶然と想像』が銀熊賞を獲っていて。年間に三大映画祭で2つとも出品されて賞を獲るってなかなかできることではないですから。私も普段ほとんど邦画は観ないんですけど、これは観なくちゃと思って観に行ったらすごく面白くて、大好きな映画になりました。

猿渡 よく日本の人に「やっぱり村上春樹のブランドですか?」って言われるんですけど、アメリカでは村上春樹の原作ですと大々的に謳ってるわけではないんです。もちろん批評とか読むと必ず出てくるけれども、そもそもアメリカでは配給が小さいし、キャンペーンを始めたのも結構遅くて。

 秋ぐらいから投票者向けの試写案内が大量に送られる中、『ドライブ~』は何も来なくて。『竜とそばかすの姫』がこんな頑張ってるのに『ドライブ~』もうちょっと本気になれば?とか思って(笑)。

 私も11月の終わりにやっと試写の招待が来て行ったら満員なんです。顔見知りのアカデミー会員の人もちゃんと来てて、誰も出て行かない。デンゼル・ワシントンの『マクベス』の試写は途中で3人ぐらい出て行きました(笑)。

メラニー・町山 (笑)。

町山智浩氏。映画のみならずアメリカの社会・文化にも精通

猿渡 私が思うに、これって作り手の心に響く作品だと思うんです。舞台の演出家兼役者が主人公で、村上春樹の小説にもある喪失からどう立ち直るかという部分がありつつ、ある意味フェリーニの『8 1/2』(63年)と関わるところもあるし、コミュニケーションの問題として同じ言葉で喋っていたのに奥さんとの意思疎通ができていなかったことがわかる。それを3時間の中で焦らず描くことを恐れなかった濱口監督の芸術家魂が、作り手の人に響くというのが私の予想です。

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 果たして『ドライブ・マイ・カー』は作品賞を受賞できるのか。“専門家”3人の本音とは――。この記事の全文は、現在発売中の『週刊文春CINEMA!』に掲載されています。

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