1ページ目から読む
2/4ページ目

「EV化で電力が不足する」は本当?

 実際のところ、仮にこれから「すべての新車」がEVになったとしても、ただちに電力需給を逼迫させることはない。どんぶり勘定ではあるが、EV化により電力消費がどの程度増えるのかを計算してみたい。

 まず、2020年における電力供給量 は約1兆kWhであり、一方の電力消費量は約9000億kWhである。およそ1割、供給力に余裕を持たせていることがわかる。

 一方、EVに使われる電力量はどのくらいだろう。EV1台あたり年間1万km走行するとした場合の、電力消費量は1500kWhほどだ。

ADVERTISEMENT

 乗用車の年間新車販売台数は400万台~500万台だから、これがすべてEVになれば、年に約75億kWhの電力消費量が加算されていくことになる。これは年間消費量の0.8%程度の数字。

©iStock.com

 つまり、「すべての新車がEVになる」という現状ではありえない仮定においても、総量的な電力量が不足することは当面ないと考えられる。

ピーク時の電力は不足するか

 それでは、夏場のピーク時にはどうか。昨年の東京電力による電力需給状況 を見てみると、1時間あたりの電力需要が年間のピークに達したのは8月26日の13時~14時であり、消費量は5665万kWhである。一方、この時の最大供給量は6250万kWhであり、使用率は90%だった。今回のような想定外の状況に陥らない限り、ピーク時にも一定のマージンを確保できていることになる。

 つまり夏場のピーク時、エリア内の乗用車がすべてEVだったとしても、平均的な電力消費量はカバーできることになる。