Q ニュースでよく聞く時期に…いまさら聞けない「春闘」「メーデー」ってなんですか?

今年も、ニュースで「春闘」や「メーデー」という言葉を聞くようになりました。ただ、我が家は大企業のサラリーマン家庭でもなく、これらの言葉はニュースや教科書の単語以外で見聞きする機会がありません……。「常識」のようなことを聞くのはお恥ずかしいのですが、この「春闘」や「メーデー」とはどういうもので、なぜこれほど重要視されているのでしょうか(10代・男性・学生) 

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A 4月からの給与水準改定前にある「春の闘い」です

 そうか、もはや知らない人が多くなったのですね。「春闘」とは、文字通り「春の闘い」。各企業や役所は4月からの新年度に社員(職員)の給与水準を改定します。そこで労働組合は、改定の前に賃金の引き上げを要求します。だから「春」なのです。

 社員は出世すれば昇給するでしょう(定期昇給、略して定昇)が、労働組合は、個別の昇給ではなく、社員みんなの給与水準(ベース)をアップしろと要求します。これが「ベースアップ」(略してベア)です。

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 企業がベースアップを渋った場合、労働組合はストライキをして要求を通そうとすることが、労働者の権利として認められています。

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 でも、日本は企業別組合。つまり企業ごとに別々に労働組合が存在します。このため、たとえばA社の労働組合がストライキをして工場の操業が止まった場合、ライバルのB社が生産量を増やしてシェアを増やす、なんてことが起きかねません。そこで、弱い立場の労働組合が、一斉に賃金引き上げをしようということになりました。これが「春闘」です。

 一方、メーデーは5月1日。春闘が終わった組合が多いはずですから、ご苦労さん会を兼ねて、労働組合員が集会を開き、労働者の権利の拡大などを要求してデモ行進をしたりしてきました。

 そもそもメーデーは、1886年5月1日にアメリカの労働組合が8時間労働制を制定するように求めて一斉にストライキをしたのが由来です。

 これが世界に広がり、5月1日がメーデー(5月の日)となり、定着しました。日本でも1920年から労働者の集会が開かれるようになりましたが、日中戦争が激化すると共に警察の弾圧が厳しくなって開催できなくなりました。

 それが、戦後になって復活したのです。戦後、日本が貧しかった頃は娯楽も少なく、メーデーは労働組合員たちが家族連れで参加するピクニックのような楽しいお祭りだったのです。

 しかし、いまや労働組合員たちの嗜好も多様化。5月1日はゴールデンウィークの最中なので、「この日は家族で行楽に行くから避けてくれ」という声も多くなり、5月1日を避けて開かれるケースが増えました。

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