文春オンライン

「ASAYAN」終了から20年…日本の“オーディション番組”はどう変化してきた?〈モー娘。からNiziUまで〉

J-POPから見るニッポン

2022/04/10
note

「僕らは夢見てるか?」と問いかける歌詞は「君らは“ちゃんと、子どもみたいに純粋に”夢を見れているのか」と言われている感も見えて、少女たちの戦いぶりがヒリヒリと伝わってくる。実力をつけないと置いていかれるけれど、同時にまっさらに戻ることも願われる。なんという過酷なサバイバル!

 AKB48の人気が上がっていった同時期、SNSの発展で、ボカロPやYouTubeの「歌ってみた」「踊ってみた」など個の発信で注目を集めていく人々も続々登場した。私もうっすら知ってはいたが興味を持ったのはかなり遅い。2007年に初音ミクが“デビュー”したが、どこか心に壁があった。「テレビっ子の魂100まで」で、新たなエンタメ形式がなかなか理解できなかったのだ。

 その価値観が変わったきっかけは結局テレビ。紅白歌合戦で聴いた米津玄師の「Lemon」である。良い曲・良い声、人柄が伝わる自己紹介にビックリし、今まで聴き逃していたことを悔いた。「これからいろんなところから、素晴らしいアーティストが出てくる時代。聴かず嫌いをしていたらもったいない!」と後頭部をはたかれた思いがした。アンテナはフルに立てておかなければ感動を逃すぞ、と!

ADVERTISEMENT

 昨年末の藤井風の登場の仕方もこれまた衝撃だった。自宅で発信していた人が、初登場で、グイッと表に引っ張り上げられる。そして堂々と場の空気を持っていく驚き! また、それを許す紅白歌合戦に「これから変えていくぞ」という覚悟を見た。

 NHKが1年かけてオーディションを実施し、優勝の発表が紅白の舞台……という時代もくるのかもしれない。

今年も新たなオーディションが続々!

 自分らしく才能を世に発信する選択肢はこれからも増えていくはず。私たちテレビ世代も、オンラインイベントや配信ライブの普及などで、新たなエンタメ形式に慣れてきた。

 この時代、言うなれば、今はナンバーワンとオンリーワンの向こう側。

 オーディションも、挑戦者だけではなくそれを応援する側もある意味共に未開の地を拓くサバイバー。花を咲かせるチャンスはいっぱいだ。

 今年は「HYBE LABELS JAPANグローバルデビュープロジェクト」の第1弾オーディション番組「&AUDITION - The Howling - 」、そして「Nizi Project Season 2」が開催予定。どんな新しい風が吹くのか、そして花が咲くのか、楽しみだ。

「ASAYAN」終了から20年…日本の“オーディション番組”はどう変化してきた?〈モー娘。からNiziUまで〉

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー