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 和楽寺は民家を居抜きで改造したらしき寺で、路地の奥まった場所にあり、Google Mapのナビでも完全に正確な場所が表示されない。周囲をひとしきり歩き回り、やっと入り口を発見した。

 寺院内には留学生らしき若いベトナム人男女が留守番中。話を聞いてみたところ、この寺は姫路の大南寺と関係が深く、住職が兼務しているという。

長田区の和楽寺。一般家屋っぽいが、寺。2022年3月10日。撮影:Soichiro Koriyama
こちらでも日本国内で亡くなったベトナム人たちの位牌や遺骨が多数。遺影を見る限り、技能実習生よりも1980年代からこちらに住んでいる元難民系のオールドカマーが多いように思える。2022年3月10日。撮影:Soichiro Koriyama
和楽寺の本堂。柱が特徴的だ。2022年3月10日。撮影:Soichiro Koriyama

情報はベトナム寺に集まってくる

 近年、在日ベトナム人の増加とともに、ベトナム寺もどんどん増えている。個人的に興味深いのは、日本国内で事件や事故に関係したベトナム人たちについて、ベトナム寺に行くと情報が入ってきやすいことだ。エッジィな日々を送る人たちも、心のよりどころや同胞と会える場所を求める。ゆえにお寺には来るのである。

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Ma ha bát nhã ba la mật đa tâm kinh…(摩訶般若波羅蜜多心経)。2022年3月10日。撮影:Soichiro Koriyama

 いっぽう、一部の寺は教線の拡大に積極的だ。後継者不足や檀家の高齢化で住職がいなくなった日本の無住のお寺を、ベトナム寺として再生したいという声も耳にした。いまや日本の外国人人口で2番目に多い人たちとなったベトナム人は、宗教の世界でも大きな存在感を示すようになりつつある。