ズボンを下げられたり、自慰行為を強要されたり、写真を撮られたりしても「ふざけっこだよ」「男同士の遊びだよ」と言われて、性暴力だとわかっていない男の子も少なくないかもしれません。また自覚があっても「はずかしくて親に言えなかった」と話す子もいるそうです。
このことからも、どんなことが「性暴力」にあたるのか、女の子だけでなく、男の子にも伝えておく必要があります。たとえ大人や顔見知りの人にされてもイヤなものはイヤと言える「断わる力」を得ることは、一生を通して、自分の身を守る基礎になります。
自分が何かされた時に、それを親に伝えるのは「まったくはずかしいことではないよ!」と、あらかじめ子どもたちの味方になっておくことが重要だと思います。
「10歳」はどんな年齢?
「10歳の壁」とは一般的に、子どもたちが10歳くらいになるとぶつかる、生活面、心理面、学習面、体力面の壁のこと。この年頃になると子どもたちはいろいろなことへの認識が深まり、からだも大きく成長します。しかし成長には個人差も大きく、この時期には、友だちと比べて劣等感を持ったり、やる気をなくしてしまう子も多いのです。
じつは、性教育にとっても、「10歳の壁」があるといいます。もちろん個人差はありますが、このころだとまだ、性についてそれほどネガティブなイメージを持っている子どもは多くありません。
ところが、5年生になると、性について「恥ずかしいこと」「聞いてはいけないこと」「エロいこと」と思っている子どもが増えるといいます。子どもの成長にともなって当然おこる性に対する興味や関心に対して、まわりの大人たちがどのように対応したかが積みかさなった結果か、このような気持ちになるのでしょう。