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ドラフト直前、上川畑大悟内野手のプレーするグラウンドに

 昨年10月のドラフト直前、東京・大田スタジアムで行われた都市対抗野球予選で久々に言葉を交わした。当日、JR東日本の先発としてマウンドに上がったのは、巨人に2位指名されることになる山田龍聖投手。150キロを連発する左腕の最終確認のため、各球団のスカウトがスタンドに顔をそろえた。

 ひとりで座っていた今成さんに「山田、どうですか?」と聞いてみた。「どうもこうもないよ。いいもんはいい。上位で消えるだろうな」。そうだろうなと思い、雑談に終始して別れた。ドラフトで驚いたのは、同じグラウンドにいた小柄な遊撃手の名前が上がったことだ。「第9位選択希望選手 北海道日本ハム 上川畑大悟 内野手 NTT東日本」。ああ、今成さんはこっちを見ていたのかと思った。

「スカウトに大切なものは何ですか?」と聞いてみたことがある。「とにかく選手をたくさん見ることだよ。俺みたいなプロの経験がないスカウトは、そうしないと信用してもらえなかったから」。最後に見守っていた上川畑がドラフト最下位指名でプロ入りとは、いかにも“らしい”と今になって思う。

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 日本ハムのドラフト戦略はよく「ミーハードラフト」などと言われる。高卒の素材型、言ってみれば甲子園のスターを指名することが多いからだ。一方で北海道移転以来、強い時期を支えていたのは下位指名の実力派だ。その多くは今成さんの「とにかく選手を見る」という哲学で発掘されていた。「いつも言ってるじゃねえか。俺しか見てない選手を取るんだよ」。最後までスカウトであり続けた今成さん。天国からもきっと、たった一人でグラウンドを見つめているに違いない。

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