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今年のファイターズの野球とは

 そして、それから2年半ほどが経った今。

 4月26日の試合を家のテレビで観ていたら、我が老父が「上野の守備を観るだけで金払う価値があるなあ」と言うのを聞きました。東京ドームに行っていた河野万里奈さんは《上野響平選手の守備だけてもはやチケット代完全にペイできています》とツイートし、パーソル パ・リーグTV公式YouTubeには「【ガッチリ21歳】上野響平『バースデーボーイが好守連発』」と銘打った動画がアップされ、絶賛コメントが続々と。

 この日の彼は、競り負けた試合で1本のヒットも打てなかった選手でもあるのです。でも誰もがそんなことはどうでもよくなってる。彼の守備がそうさせている。

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 あの時の小牧監督と「野球太郎」誌の希望と予想が、本当に実現するのかもしれません。

 守備でお客さんを呼べるような選手。いや、守備「だけ」で呼べる選手。

 ビッグボス新庄剛志は就任以来、守備を重視する監督という顔を見せています。ここ数年のファイターズは打撃も決して思わしくはないのですが、察するところ監督は「打てないなら打てるようにする」よりも「打てないなら守り勝つ」の方に、より大きな可能性を見出しているようです。1安打で勝つ試合をしたいなんていうのも、どうやら本心らしいと見受けました。

 若い選手達を次々と使って試合の中で鍛えながら戦っていく、今年のファイターズの野球とはつまり何ですか、と問われたら。

 この答えは、ありなんじゃないでしょうか。

 上野響平です。

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