学力の基準が大きく変化している
冒頭で触れましたが、現在、日本の教育は、大きな変化の只中(ただなか)にあります。かつての詰め込み式教育がすべて悪かったとはいいません。高度経済成長期の日本においては必要な部分もあったし成果もあったでしょう。そして、そうした既存の教育の恩恵を受けて育った人々にとっては、古い学力観からなかなか脱することができないのも、よく理解できます。
しかし、冷静に考えてみてください。科学技術の進歩に伴い、これからの時代はAIなどを活用し、共存していく力が求められます。また、ますます多くの人や情報が国内に入ってくる、いわば「外からのグローバル化」が加速するでしょう。
それはもう時代の趨勢(すうせい)であり、新たな社会のあり方に対応するために、新たな「学力」が必要なのは自明の理です。最近では、こうした世界基準での「学力」の変化に日本社会が追いつけていないことに気づき、我が子には海外で豊かな教育を受けさせようと考える人もかなり増えているようです。
日本でもこうした世界的な潮流に対処しようと、文部科学省は次期学習指導要領を2020年度から順次実施すべく動いています。その柱となるのが「アクティブ・ラーニング」という学習方法です。「主体的・対話的で深い学び」と説明されていますが、要はこれまでの教師から子どもへの一方的・受動的な学習ではなく、相互に意思疎通をはかりながら児童・生徒が能動的に学ぶ学習へ、ということですね。あわせて2020年度には大学入試改革が始動。「センター試験」に代え、思考力・判断力・表現力を問う「大学入学共通テスト」が実施されることが公表され、現在検討が進められています。