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〈驚愕の費用でリニューアル〉なぜ今こんなお店を!? 昭和レトロを前面に打ち出した“異色すぎるパチンコ店”を徹底ルポ

〈驚愕の費用でリニューアル〉なぜ今こんなお店を!? 昭和レトロを前面に打ち出した“異色すぎるパチンコ店”を徹底ルポ

2022/05/03
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閉店が相次ぐパチンコ店だが……

 今回の発想やコンセプトについて、「キクヤ昭島店」店長を5年間務めている早川氏にお聞きしました。

「当店は元々、この地で2003年から営業を続けて来ましたが、設備の老朽化によって昨年建て直しをすることになりました。新店舗は前店より約150台増やした800台程度の規模に決定したものの、普通の内外装では話題にならないし注目もされない。

 そこで古くから通って頂いている年配のお客様に喜んで頂ける場所をということで、昭和レトロを思いつきました。他にもちょっと後付けっぽくなりますが、昭島の昭という字をはじめ、近くに『昭和記念公園』や『昭和町(という地名)』があり、昭和が身近にある環境というのも発想のきっかけになっています」

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 パチンコ業界では2018年の規則改正によりギャンブル性が抑えられ、コロナ禍で客離れが加速。さらに台価格の高騰なども相まって、閉店が相次いでいます。

景品交換場には端玉でもらえる駄菓子がたくさん

 手元にあるパチンコ店名簿を見ると、キクヤがある東京都昭島市でも15年前の2007年時点で13店舗あったのが、今年3月現在約半分の6店舗に。そんな中での生き残り策として、総工費10億円以上をかけて柱以外のほとんどをリニューアルしたとのこと。とはいえ、コンセプトを進めていく過程には苦労も多かったようです。

「実は店長の私自身、1984(昭和59)年生まれなのであまり昭和時代を知らないんです(笑)。そこで本社の50代以上の社員に話を聞いたり、台場一丁目商店街や西武園ゆうえんち、横浜のラーメン博物館といった昭和がテーマの施設にも通ったりして、色々と勉強しました。

昭和期に流行したアイテムの復刻版も景品交換所に並ぶ

 ただ、昭和時代は長く前期と後期では全然流行などが違うので、どの辺りを持って来るのか? 加えて、やはりメインはパチンコですし業界独自の射倖性に関する規制もあり、再現性だけを追求するわけにいかない。そういった兼ね合いが難しかったですね」(早川店長)