「車は5年くらい前に買って、1000万円くらいでした。プリントは2週間くらい前ですね。全然躊躇はなかったです。もともと15年くらい前から痛車乗りで、高校生の頃からバイクでやってましたね」
以前から痛車カスタムをしていたこともあり、高級車だからといってためらいが生じることはなかったという。しかし一体、普段はどんな仕事をしているのだろう。スーパーカーで痛車というと、趣味に自由にお金をかけられる「独身貴族」のイメージもあるが……。
「仕事は普通に設備関係の会社員ですね。親が経営者をしています。結婚も、はい、しています。妻は色々値段も知っていますけど、自由にやらせてくれています」
聞きながら、何か知らない世界の話をされているような感覚に陥り、自分の常識の狭さを恥じる。これまでに車にかけた費用を聞くと、「覚えていない」という答えが返ってきた。
フェラーリで結婚生活を過ごしているのかが気になるところだが、普段乗りには使っていないらしい。
「普段はガレージで、飾ってあるだけですね。ミニカーみたいなもんですよ。いつもはアルファードですね」
1000万円超えのミニカーとは恐れ入るばかりである。一口に既婚会社員といっても、お財布事情は実にさまざまなのだ。
「ヤンキー系」の痛車も
ところで、会場に並ぶ車両にはやはりスポーツカーが多い。走行性能に対するこだわりの大きさと、キャラクターへの愛情の深さとの間には何かしらの相関関係があるのかもしれない。発売から間もない「GRヤリス」や「スープラ」といった最新車両を、惜しげもなく痛車に仕上げているものもあった。
一方で、二次元の世界とは親和性の低そうな「VIP系」の車両も見られた。さらに、旧型のアメ車セダンに特殊なサスペンションを入れ、車体を浮かす「ローライダー」の姿も。
ハイエースなどの1BOX車両にクワガタのような巨大なエアロパーツを装着した「バニング仕様」も、いまや絶滅の危機に瀕しているが、この会場で久々に目にすることができた。
そうしたなか、なんとも形容しがたいオーラを発するレガシィが目に留まる。和柄のペイントに、内装はワインレッドのベルベット調で統一され、天井からシャンデリアまで吊り下げられている。
極道映画のような世界観だが、もちろんオーナーの男性はそうした世界とは無縁の人物であり、丁寧にインタビューに応じてくれた。