3月27日、日本最大級の痛車イベント「お台場痛車天国2022 RETURNS(主催:痛車天国イベント事務局)」が開催された。

 お台場の野外特設会場に、「萌えキャラ」などのペイントを施した車両およそ1000台が集結。アイドルのステージやコスプレイヤーの撮影も行われる「痛車の祭典」が、3年ぶりにお台場の地に帰ってきた。

 盛況を博した同イベントだが、一般的な感覚からすると、二次元のキャラクターを貴重な車体にプリントする趣味は理解しがたいかもしれない。一体、痛車のオーナーたちはどんな人物であり、何を考えて痛車カスタムをしているのか。痛車オーナーたちの実像に迫るべく、私たちは未知なる世界に足を踏み入れた。

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「このポーズがやりたくてV8の車に」

 ゆりかもめに乗り、会場の最寄り駅が近づくと、車内から「うわっ、すげ」という声が。外を見下ろすと、カラフルな車両が一面に並ぶ光景があった。

東京国際クルーズターミナル駅から見下ろすイベントの光景

 会場に入り周囲を見渡すと、やはりまず「高級車に二次元キャラ」という組み合わせに目を引かれる。ベンツやアウディ、ポルシェといった高級輸入車の痛車も散見されるなか、ひときわ存在感を放っていたのがグリーンのBMW・M6だ。

「ソードアート・オンライン」のプリントを全面に施したBMW・M6

 新車価格2000万円前後の車両に、全面的なプリントを施した「フルラッピング」の痛車であり、一見して相当の費用がかかっていることがわかる。邪な興味を抱きつつ、オーナーに話を聞いてみる。今日のため京都から駆けつけたという「アイクロ」氏がインタビューを快諾してくれた。

「ラッピング代だけだと70万円~100万円くらいですかね。それでも、昔に比べると業者さんも増えているので、安くできるようになりました。今はフルラッピングでも、安くやろうと思えば30万円くらいからできますし」

 以前はフルラッピングなら100万円~200万円もの費用が必要だったというから、痛車カスタムも手が届きやすくはなっているようだ。とはいえ、この車両のラッピングには通常よりもコストがかかっていることになる。描かれているのは人気作品「ソードアート・オンライン」のキャラクターだというが、なんでもひと味違うポイントがあるらしい。