「深津さんは集中のされ方が圧倒的だなと」
――3人のヒロインと共演しているのは堀部さんだけです。上白石萌音さんとの共演はいかがでしたか?
「基本的に僕は母子家庭で育ったこともあって、人見知りがすごくて、あまり自分から積極的に現場では話しかけられないんです。でも、彼女にはとても気を遣っていただいて。朝ドラの主役を務めながら、それでいて、常に周りの人に気を遣えるのはすごいなぁと思います。安子ってふわっとしたようで、すごく芯の太さや強さがあるキャラクター。オンエアを見ていても、上白石さんは、覚悟がこめられたセリフを言う瞬間にパッと表情が変わって、『おぉ、すごいな~』と思います」
――深津絵里さんとの共演は?
「深津さんは初めてです。印象に残っているのは、集中のされ方が圧倒的だなと。だいたい我々は前室でみんなちょっと話したり、色んなことをしているんだけど、ふと見ると、深津さんはセットの端っこで1人でいらっしゃる。
ビックリしたのが、あかね通り商店街を出たところに何かのお店のセットがあるんですね。僕は東京に戻る日だったので、深津さんにご挨拶しようと思って、お付きの方に『深津さん、すみません』と声をかけたら、そのお店の戸を開けたところの狭いスペースにお1人でいらっしゃったんです。椅子を置いて台本を読んでいらっしゃって。そうやって、るいという役を研ぎ澄ませていたのでしょう。無駄話している姿は見たことがなかった。
僕なんかが言うのもおこがましいですけど、オンエアを見ていても、ちょっとした仕草がすごく上手。ほんと一瞬の指先の使い方がるいなんですよね。同じ俳優として尊敬しますし、目指すところですし、憧れです。それに比べて自分は、何かモノを取る時に普通に首から上は演技をしていても、指先まで集中できていたかな、と反省しますね。回転焼きを焼きながら、ちょっと振り返って何かで手を拭く所作も全く違和感がない。自然以上の自然というか、すごく勉強になりました」
――3人目のヒロイン、川栄李奈さんの印象は?
「現場で小夜吉役の男の子とちょっとした会話で遊んでいる感じがすごく自然で。『お子さんの扱いに慣れていらっしゃるなぁ。若いのにすごいなぁ』と思っていたら、どなたかが『川栄さんお子さんいらっしゃいますしね』と言っていて。そうなんだ、と。見えないですよね。高校生のひなたから、本当に自然に演じていらっしゃったから。
川栄さんがすごいのは、台本の中で、笑いにちょっと引っ張る瞬間があるんですね。吉右衛門とも、蕎麦屋のシーンで、僕が背後から会話に入って、川栄さんと『けちえもん』、『誰がけちえもんや』、『すいません』と掛け合いをしたことがありました。この時の間が良いというか、リズムがすごく良くて。コントや漫才をやっている人って、セリフが書かれたお芝居になると、なかなかリズムが取れず、笑いの空気とかけ離れてしまうことがあるんです。でも、川栄さんは事前に打ち合わせをすることなく、普通にそれをやっていらっしゃった。勘が本当に良いんだろうなぁと思いました。センスですよね」
4月6日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」及び4月7日(木)発売の「週刊文春」では、ヒロイン3人の知られざる秘話や、吉右衛門や吉之丞ら赤螺家の男がモテる理由、緊急開催した“ダメンズ選手権”、錠一郎“無職32年”の徹底検証、藤本有紀氏が手掛けた脚本の謎など、「カムカム保存版」と題し、グラビアと合わせて11ページの大特集を掲載。出演者11人をはじめ、監督、スタッフら計20人が実名告白している。