あなたは、“火葬場”と聞いて何を思い浮かべるだろうか。神聖な場所、近寄りがたい……。なんとなくのイメージは持ちつつも、どんな人が働いて、どんな仕事をしているのか具体的に知っている人は少ないかもしれない。
『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』(竹書房)などの著書もある元火葬場職員の下駄華緒さんは、自身のYouTubeチャンネル『火葬場奇談』で毎日のように火葬場にまつわる話を公開している。そんな下駄さんに、これまであまり語られてこなかった、火葬場のリアルな現場を伺った。(全2回の1回目/2回目に続く)
◆◆◆
「火葬場職員の仕事って、何かええなあ」
――下駄さんが火葬場職員になった経緯を教えてください。
下駄華緒(以下、下駄) 直接のきっかけは、先輩が火葬場職員だったからですね。火葬場職員はなかなか身近にいなくて珍しいから、先輩に「どうやってなるんですか?」と聞いたら「求人誌で募集してる」って教えてもらいました(笑)。
あと、同じ時期に僕のおじいちゃんの葬儀があったんです。お骨上げをしてくれた火葬場職員さんが、僕たち遺族の前でおじいちゃんの人生をねぎらってくれて、親族一同「じーん」としたんです……。その時に「火葬場職員の仕事って、何かええなあ」と思ったんですよね。そんなきっかけが重なって、自分から求人に応募しました。
――火葬場ではどんな方が働いているのでしょうか。
下駄 実は、火葬場はもともと公営のところが多かったんです。だから、職員歴何十年のベテランの火葬場職員は、元公務員が多いですね。最近は行政に委託される民間業者もどんどん増えていて、そういうところには20~30代の若い人も結構います。
――仕事内容を教えていただけますか?
下駄 仕事は大きく2つにわけられます。火葬そのものと、お骨上げです。人によりけりなのですが、僕はどちらかと言うと火葬よりもお骨上げが好きでしたね。