あなたは、“火葬場”と聞いて何を思い浮かべるだろうか。神聖な場所、近寄りがたい……。なんとなくのイメージは持ちつつも、どんな人が働いて、どんな仕事をしているのか具体的に知っている人は少ないかもしれない。
『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』(竹書房)などの著書もある元火葬場職員の下駄華緒さんは、自身のYouTubeチャンネル『火葬場奇談』で毎日のように火葬場にまつわる話を公開している。そんな下駄さんが考える現代の火葬場の課題や、「火葬場の情報をもっと届けたい」という想いを伺った。(全2回の2回目/1回目から続く)
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“死”はごく当たり前に起こっている自然現象
――下駄さんは、10年近く火葬場職員として働いていたそうですね。働く前後で“死”に対する考え方は変わりましたか?
下駄 「人はいつでも死ぬ」と思うようになりましたね。火葬場で働き始めるまでは、自分は自動的に長生きするもんだと信じていたんですよ。自然と老人になって、寿命で死ぬんだろうなって。
でも火葬場では、小さい赤ちゃんや子どものご遺体も火葬するんです。そういうのを見ると、「自分だっていつ死ぬかわからない。“死”はごく当たり前に起こっている自然現象なんだな」と感じました。
――死生観が変わった?
下駄 死生観というか……。例えば、死について考えるときって「どう死のう」じゃなくて、「どう生きよう」って考えません?
でもそれって、これからも生き続けることが前提になっているんですよね。実際には全然そんなことないんですよ。「こう生きたい」と思った次の瞬間、死ぬかもしれない。火葬場にいるとそれを思い知らされます。
あと火葬場で働くようになってから、幽霊への考え方も変わりました。