火葬後に体験した“幽霊体験”
――幽霊ですか。
下駄 普段幽霊を信じていない人でも、葬儀や火葬の現場では信じるようになるんですよ。「きっと亡くなったお父さんは、いまも私たちを見守ってくれている」とか。そういう姿を見ていると、「日本人って基本的には信仰深い人が多いんやな」と思います。
“人の死”はただの自然現象の一部なんだけど、そこに何かを見出そうとするのが人間なんでしょうね。その何かの1つが、幽霊であると。
――下駄さん自身は霊体験をしたことは……?
下駄 僕の著書『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』の中でも書いているエピソードなのですが、幼い男の子の火葬を担当したとき、仕事を終えて夜自宅で寝ていたら、その子が夢の中に現れたことがありました。その子に「遊ぼう」と言われたので、2人でしりとりをしたんです。
そしたら、ふすま1枚隔てた隣の部屋に寝ていた母親が「こんな夜中になんや! さっきからスマホの音がうるさいわ!」って飛び起きてきたんですよ。
どうやら、僕の枕元に置いてあったスマホのSiriがずっと反応していたみたいなんですよね。「よく聞こえませんでした」って。でも僕、Siriの機能はいつもオフにしているんですよ。勝手に反応するのが嫌で。だから余計に、なんでSiriが反応しているのか全然わからなくて……。
それに、Siriが「よく聞こえません」って言っていたとき、夢の中でしりとりをしていた男の子も僕に向かって「お兄ちゃんが言っていること、よく聞こえへん」って言っていたんですよね。
――鳥肌が……。
下駄 もしかしたら、いろんな偶然が重なっただけかもしれません。でも、あの出来事があってからは「幽霊は本当にいるのかもな」と思うようになりましたね。
――ほかにも、ゾッとした体験はありますか?
下駄 霊的な体験ではないですけど、火葬後の「友引人形」を見てゾッとしたことは何度かありますね。