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「あの出来事があってから『幽霊は本当にいるのかもな』と…」元火葬場職員・下駄華緒が語る、覆された“死生観”

元火葬場職員・下駄華緒さんインタビュー #2

2022/04/16
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火葬後に体験した“幽霊体験”

――幽霊ですか。

下駄 普段幽霊を信じていない人でも、葬儀や火葬の現場では信じるようになるんですよ。「きっと亡くなったお父さんは、いまも私たちを見守ってくれている」とか。そういう姿を見ていると、「日本人って基本的には信仰深い人が多いんやな」と思います。

 “人の死”はただの自然現象の一部なんだけど、そこに何かを見出そうとするのが人間なんでしょうね。その何かの1つが、幽霊であると。

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――下駄さん自身は霊体験をしたことは……?

下駄 僕の著書『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』の中でも書いているエピソードなのですが、幼い男の子の火葬を担当したとき、仕事を終えて夜自宅で寝ていたら、その子が夢の中に現れたことがありました。その子に「遊ぼう」と言われたので、2人でしりとりをしたんです。

 そしたら、ふすま1枚隔てた隣の部屋に寝ていた母親が「こんな夜中になんや! さっきからスマホの音がうるさいわ!」って飛び起きてきたんですよ。

 どうやら、僕の枕元に置いてあったスマホのSiriがずっと反応していたみたいなんですよね。「よく聞こえませんでした」って。でも僕、Siriの機能はいつもオフにしているんですよ。勝手に反応するのが嫌で。だから余計に、なんでSiriが反応しているのか全然わからなくて……。

 それに、Siriが「よく聞こえません」って言っていたとき、夢の中でしりとりをしていた男の子も僕に向かって「お兄ちゃんが言っていること、よく聞こえへん」って言っていたんですよね。

 

――鳥肌が……。

下駄 もしかしたら、いろんな偶然が重なっただけかもしれません。でも、あの出来事があってからは「幽霊は本当にいるのかもな」と思うようになりましたね。

――ほかにも、ゾッとした体験はありますか?

下駄 霊的な体験ではないですけど、火葬後の「友引人形」を見てゾッとしたことは何度かありますね。