現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。序盤の中心人物とも言える源頼朝を演じている大泉洋の存在感が抜群なのは言うまでもないが、その頼朝に負けないくらい、いや、もしかすると上回っているかもしれない強烈なキャラクターを演じている俳優がもう1人いる。

 そう、北条政子役の小池栄子である。

『鎌倉殿の13人』(番組公式サイトより)

回を追うごとに増す政子の覚悟と貫禄

 主演の小栗旬演じる北条義時をはじめ、さまざまな個性的な坂東武士たちとその周りの人たちによる群集劇が、脚本・三谷幸喜の軽妙なセリフ回しとともに繰り広げられている本作。義時の姉にあたる政子は頼朝の正室となり、のちに「尼将軍」とまで呼ばれ強大な権力を握っていく。

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 初登場となる第1話「大いなる小競り合い」では、3年ぶりに京から戻ってきた父・北条時政(坂東彌十郎)を明るい笑顔で出迎えた政子だが、頼朝と出会った瞬間、色めき立ち、義時の注意も聞かず積極的にアプローチしていく。頼朝の気を引こうと彼が匿われている離れのそばで蹴鞠をするその表情は、どこかコミカルでありつつ、まるで恋する少女のようにピュアだった。

小池栄子演じる北条政子 『鎌倉殿の13人』番組公式サイトより

 続いて第2話「佐殿の腹」では単身、伊東家に乗り込み、頼朝の元妻だった八重(新垣結衣)と直接対面し彼への思いを断ち切るよう堂々と宣告。第3話「挙兵は慎重に」では戦に対して重い腰を上げようとしない頼朝に「いくじがない」とまで言い放ち、彼を奮い立たせる。

 そしてネットでも話題になった第12話「亀の前事件」では、頼朝の妾である亀(江口のりこ)への怒りを燃やし、「後妻(うわなり)打ち」の発火点となった。

 ここまでを振り返ってみると、まるで頼朝の躍進に呼応するかのように、政子の瞳も輝きを増し、揺るぎない力が宿っているように思える。小池は彼を支え、時には叱咤激励する気丈な妻としての変化と覚悟を見事に表現。回を追うごとに洗練され、貫禄が増している。