オダギリジョーとの“アドリブ”
――例えば、66話でひなた(川栄李奈)とジョーが拾った空き瓶を森岡酒店に持ってくるシーンでは……。
「熱いのんキューっと一杯欲しなりますね」と言うジョーさんに、「いや、あんた下戸やがな」と返すまでが台本です。そのあとのジョーさんの「あ、お湯のことです」と、それに対する「お湯かい! 熱燗の言い方やでそれ」のツッコミはアドリブでした。
あとは、93話でジョーが福引の店番をしている場面。ジョーさんが抽選補助券を10枚持ってきたお客さんに「10枚だから10回!」と言って、森岡が「ちゃうちゃうちゃう。これ補助券や、1回な」と返して終わるはずでした。せやけどオダギリさんがアドリブで「カンカンカンカン」って福引で当たりが出た時用のハンドベルをずっと鳴らし続けはって、「うるさいなー!」ってツッコミをいれたんです。カットされてますが、最終的に「うおー!」って叫ぶまでやってましたね(笑)。ちょっと森岡さんの役ではなくて、もう僕やったなぁと思います。
――現場ではオダギリさんとよく話されたんですか?
オダギリさんは次長課長の河本(準一)さんの幼馴染だそうで、「芸人さんはなんか近しい存在」やって言うてました。だから僕にも結構仲良うしてくれて。後半では一緒の現場が減ってしまって残念でした。
でも、オダギリさんって厳しいんですよ。僕の良さを引きだそうとしてくれたんやと思うんですけど、すぐにツッコミ風にセリフを言わせたがる。向こうは冗談ですけど、かなわんですよ。僕が普通に芝居をしたら首を傾げながら、「逃げましたね」「あーそう、(ツッコミは)やらないんだ」とかめちゃくちゃ言うてくる(笑)。
前室でオダギリさんに「このシーンは大声で行きましょう!」って発破かけられて、深津(絵里)さんと2人のシーンででかい声でツッコミいれたら、しっかりNGくらったんですよ。監督さんから「そんな感じじゃないです。どうしたんですか?」って聞かれたから、オダギリさんの名前出そ思たのに、とっさに「深津さんがやれって言うたんです」って言ってしまって。
深津さん、すごい顔してはりました(笑)。きっと深津さんって今までの人生で勝手に犯人にされたことなんてないと思うんですよ。ずいぶん驚かれたんやろなと思うんですけど、その顔がおかしくて。もちろん謝りましたよ。その日から会うたびに「また私のせいにするんですか?」って話しかけてくださるようになりました。