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『カムカム』“キレの良い店”の森岡役・おいでやす小田が語る「想像の最高点を超えましたね」

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「おいでやす」が、朝ドラまで連れてきた

――あかね通り商店街には「おいでやす」という言葉が飛び交っていました。

「やっぱり小田さんが来たら現場の雰囲気がちょっと変わる」ってスタッフさんが言うてくれたんです。僕がおる日は「本物のおいでやすが来た!」って思うって。お世辞半分に聞いてますけど、ドラマの中でこんなに名前を呼んでもらえるのは嬉しかったですね。

――「おいでやす」を付けたのはスーパーマラドーナの武智さんなんですよね?

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 そうです、名付け親です。僕は2008年にピンになったんですけど、それまではずっとコンビを組んで漫才をやってたんですね。でも、誰かと組んでは解散して組んでは解散してを繰り返して、どうにもならんくて。ほな、最後もう誰のせいにもしたくないからピンで納得いくまでやってやめたらええわと。同期とかみんな結果出し始めてて、落ちこぼれの僕はすぐやめるんだろうなと思ってました。そこまで長くお笑いを続けられるとも、もう思ってなかった。

 だから、武智さんに「お前は京都出身やから“おいでやす小田”でええわ」って名前つけられたときも、「はいはい」って適当に受けちゃって。最初は何のこだわりもありませんでした。でも、あのときつけてもらった「おいでやす」が、朝ドラまで連れてきてくれるなんて。想像の最高点を超えましたね。

NHK公式インスタグラムより

――森岡さんが見守ってきた大月家は互いに支え合う夫婦でした。小田さんも人生のターニングポイントには、奥様の存在があったとか。

 そうすね。僕は京都で生まれて、2001年からずっと関西で芸人やってきたんですけど、5年6年7年……、もうずっと仕事がない状態やった。奥さんはテレビ観ながら「あの人が出てんのに、なんで(小田が)出てないん? 不思議や。あなたが出たら面白いのに」って言うてくれてたんですね。そのうち、「東京で芸人やることは考えてへんの?」って言われて。「そんなん考えてもなかったけど、ありやな」って思い始めて、2018年の春に上京しました。

 東京に拠点を移してから、大宮のライブでこがけんとユニットを組んだことが1回だけあったんです。“ピン芸人にツッコミ芸人がツッコミを入れる”というイベントで、くじ引きしたら相手がこがけんやって。それがちょうど2019年のM-1が始まる頃で、ユニットを組む相手どうしようかなって思っていたら奥さんが「こないだ楽しそうにしてたの、こがくんやったっけ? 組んだらええんちゃう」と勧めてくれた。彼女がいつも大事なことを言うてくれてたなっていうのはあります。

――奥様はカムカムの登場人物でいうと誰に似てますか?

 誰っぽいんやろ? まあいないすけど、安子(上白石萌音)、るい、ひなたの3人のうち誰かと言ったら……。結構自由な感じなんで、ひなたちゃんなんかな。奥さんとは2013年に結婚したんですが、その1週間後にレギュラーで出ていた番組が終了しちゃって。それでも笑ってくれましたからね。明るい人なんすよ。

「カムカム」も一緒に観てます。「役柄をつくらなくていいからよかったね。そのまま出させてもらってるね」と言ってました。ちなみにこがけんは僕の仕事について何か言ってくることって全くないので、ドラマについても話したことないです(笑)。