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 ドラマの中で大きな役割を果たす映画『棗黍之丞 妖術七変化 隠れ里の決闘』のポスターが貼られたときは、ラジオで磯村吟(浜村淳)が「この人の歌を生で聴きたいものです」と紹介して佐川満男「ゴンドラの唄」(61年/昭和36年)が流れるが、佐川はササプロ社長・笹川光臣役で出演している。

「いのち短し 恋せよ少女(おとめ)」の歌い出しで始まるこの曲は、るい自身が錠一郎に心惹かれることを恐れていた第50回の冒頭でも流れていた。るいが自分の心を押しとどめようとしているのに、BGMが「恋せよ」と後押ししている。

ビルボードチャートに起こった“事件”

 運命の映画『棗黍之丞 妖術七変化 隠れ壺の決闘』のチケットを持ってきた西山太(笑福亭笑瓶)が歌っていた替え歌は、浪曲漫才トリオ・タイヘイトリオの持ちネタ「浪漫ショウ」の出だし(第53回)。

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 突然トランペットが吹けなくなって苦悩する錠一郎がジャズ喫茶「Night and Day」に帰ってくる場面では、橋幸夫・吉永小百合「いつでも夢を」(62年/昭和37年)が流れていた。当時260万枚を売り上げた空前のヒット曲で、高度経済成長期を代表する一曲とも呼ばれている。明るい曲調だが、錠一郎が現れるシーンでは「声がきこえる 淋しい胸に 涙に濡れたこの胸に」と哀しさ、寂しさを強調するフレーズが使用されていた(第57回)。

©getty

 錠一郎から別れを告げられ、落ち込むるいを竹村夫妻が心配する場面で流れていたのは松島アキラ「湖愁」(61年/昭和36年)。「想い出すまい 嘆くまい」と遠く東京に行ってしまった恋人を想う歌だった(第58回)。

 64年、ビートルズがビルボードチャートの1位から5位までを独占する“事件”が起こったことをラジオで磯村吟が告げる。

 このとき、磯村はビートルズをかけずにルイ・アームストロング「On The Sunny Side Of The Street」を流し、離れた場所で聴いていたるいと錠一郎の心をつなぐのだが、実際にこの年のアルバムチャートで2月から7週間にわたって1位を続けてきたビートルズを蹴落としたのは、62歳だったルイ・アームストロングのアルバム『Hello, Dolly!』だった(第59話)。

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