――吉村崇には、藤吉郎イズムが流れていると(笑)。
吉村 今は動画配信などで有名になれたり、お金を稼ぐことができるかもしれないけど、あのときはそれくらい芸能界やお笑いを取り巻く環境が魅力的だった。収入面でも知名度においても夢がある。だから、草履を温める価値があったんですよね。面白くて魅力的な先輩も多いですし。
ものすごく影響を受けたのは有吉さん
――先ほどお話にも登場した加藤浩次さんや、お師匠さんと呼ぶ有吉弘行さんは、吉村さんにとって大きな存在なわけですね。
吉村 加藤さんは、孤独を楽しむところがあって、スナフキンみたいな人なんですよ(笑)。たまに街にやってきて、お笑いに対してああしろ、こうしろとか言わず、「飯食ってるか?」とか声をかけてくれる。気にかけられること自体に安心感を覚えることができる人というか。
有吉さんはお師匠さんと呼ぶくらいですから、テレビにおける立ち回り含め、ものすごく影響を受けましたね。僕が『ロンドンハーツ』で空回りしているときに、有吉さんに面白くしていただき、何度救われたことか! 事細かにアドバイスをしてくださるわけじゃないんですけど、要所要所で「こうした方がいいよ」っていうようなアドバイスをいただいたり。
本当のコンプライアンス――といいますか、この業界で仕事をしていくんだったら、本当に押さえておかなきゃいけないポイントを学びました。たとえば、どんなに時間がなくても適当にあいさつはしてはいけないなどなど、基本的なことも含めてですね。どこをきちんとすれば、仮に無礼を働いたとしてもバラエティとしては成立するのか……、そういったことを有吉さんからたくさん教わりましたね。
『水曜日のダウンタウン』以降、急激に増えた“任される仕事”
――そうした吉村さんの仕事の哲学が存分に発揮されたのが、2018年に放送された『水曜日のダウンタウン』(生中継先に現れたヤバめ素人のさばき方で芸人の力量丸わかり説)だったと思います。
吉村 自分では、そんなに大それたことをした感覚はないんですよ。今まで教わったことや、仕事を通じて骨や肉になっていることをやっただけというか。でも、あの放送を境に、仕事の内容が相当変わったことも事実でした。コーナーMCだったり、影MCだったり、“任される仕事”が急激に増えましたね。
もしかしたら、あの説があったから、『ポップUP!』の金曜パーソナリティーにつながったのかもしれない(笑)。でも、僕自身は、やっぱり一生懸命やるだけ。賞レースでは結果を残していないし、何かわかりやすい形でテレビの人気者になったわけでもない。自分はトップアマチュア、セミプロだなって。