――やはり当時から情熱がすごいです……(笑)。50年以上続くテレビシリーズだと、時代を感じたり今だったらNGになりそうなサブタイトルもあったりするのですか?
秋葉 ぱっと思いつくのは「タバコ屋のかわい子ちゃん」(1971年1月17日)でしょうか。波平からタバコ屋のお使いを頼まれたカツオがなんとかして看板娘の女の子に会おうとする話です。今はタバコ屋も少なくなりましたし、子供がタバコを買うのもできなくなりましたよね。他にも「タラちゃん親子電球」(1983年4月3日)という話があるのですが、親子電球という大きな電球と小さな電球をペアにした電気自体、もうほとんど見かけませんよね。
――たしかに親子電球はピンと来ない人も多いと思います。
秋葉 NG方面で言うと、「お父さんはノイローゼ」や「うらみのシナチク」といったサブタイトルは今だと問題になるでしょうね。内容自体は他愛もない話だったりするので、時代の変化でお話ごとNGになってしまうのは惜しい気持ちもありますが。
「都民ファースト」と聞いて「波平だ!」
――逆に、時代を先取りしていると思うようなサブタイトルはありますか。
秋葉 1977年に「波平 母さんファースト」というエピソードがあり、小池百合子知事が「都民ファースト」と言い出した時に、「波平だ!」と思った記憶があります。何かを見た時に頭の中の「サザエさん引き出し」が勝手に開いて、結びつけてしまうことは多いです。
――「サザエさん」が人生を豊かにしているのですね。
秋葉 そう思います。タイトル集めも5年かかりましたが、苦労したという感覚はなくて、楽しくてあっという間でした。集めたタイトルは、いつか何らかの形で発表したいなと思っています。本にしたいのですが、自分以外に欲しい人がいるんでしょうか……。あとは「マツコの知らない世界」に出てみたい気持ちもあるのですが、テレビ局が違うんですよね(笑)。ともあれ、今はリストを眺めながらお酒を片手にしみじみと余韻に浸りたいと思っています。