1ページ目から読む
2/4ページ目

――たしかにあの少ない文字数の中で8000回もタイトルを作るのは難しそうですよね。収集はコレクションしていたVHSもあり順調だったのですか?

秋葉 いえ、かなり抜けている部分がありました。自分で録画していたのは1980年頃からなので放送開始当初のものはもちろんありませんし、録画ミスや上書きで消えてしまったエピソードもありました。いろいろ探す中で、唯一アニメ雑誌の「アニメージュ」が、テレビ放送されたアニメの各話リストを掲載していることを突き止めました。それからは、週末になると図書館にこもって「アニメージュ」のバックナンバーを借り、リストを黙々と書き写す生活が始まりました。

秋葉さんのサザエさん録画VHSの一部

――まるで受験生のようです。

ADVERTISEMENT

秋葉 周りの人も司書の方も「何でこのおじさんはアニメ雑誌ばっかり書庫から取り寄せてるんだろう」と思っていたでしょうね(笑)。私が住んでいる県の図書館に蔵書がない号は、深夜バスで東京へ移動して都立多摩図書館に開館から閉館ギリギリまでこもって作業をしていました。趣味に没頭できる至福の時間でしたよ。

――「アニメージュ」を求めて深夜バスで東京へ……。情熱がすごいです。

秋葉 それでも、「アニメージュ」だけで全ては埋まりませんでした。そもそも「アニメージュ」は創刊が「サザエさん」放送開始から9年後の1978年ですからね。他の資料として助けられたのは新聞のラテ欄(番組時刻表)です。ただラテ欄は文字数の制限があり、全3話のうち2話しか掲載していないことも多い。そうやって残った穴は、サブタイトル収集の過程で知り合った「サザエさん」の脚本家の方に教えていただいたり、ヤフオクで昔のテレビ雑誌を競り落としたりして調べました。終盤は雑誌のバックナンバーを所蔵している大宅壮一文庫にこもりました。サクサク埋まるので、終始ニコニコしちゃいましたよ。