「『サザエさん』って一見いつも同じことをやっているようで、ワインのボジョレーヌーボーみたいに毎年テイストが違うんです。王道路線があったり、迷走している時期があったり、長寿アニメだからこそ制作陣の交代や時代の移り変わりの影響がある。僕の大好物は“2005年もの”です」

 5年もの歳月をかけてアニメ「サザエさん」の全8000話以上のサブタイトルをコンプリートした秋葉氏は、作品の魅力をこう語る。後編ではアニメ「サザエさん」そのものの魅力について語ってもらった。

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――「サザエさん」は誰もが知っているアニメですが、秋葉さんほど深くハマる人もそうはいません。秋葉さんを掴んで離さない「サザエさん」の魅力はどんなところにあるのでしょうか。

秋葉 「サザエさん」を明確に好きだと意識したのは中学2年生だったので、1980年頃でした。僕はひとりっ子で両親が共働きだったので自然とテレビっ子になりました。小学生の頃から見ていたしもちろん他の番組も好きだったのですが、カツオのやんちゃなキャラクターが好きになってきて、中学2年の頃から毎週録画するようになりました。

フジテレビ公式ツイッターより

周りは「宇宙戦艦ヤマト」や「うる星やつら」のファン

――珍しいタイプの「中2病」だったわけですね(笑)。

秋葉 確かに、身近には他に「サザエさん」好きはいませんでしたね。当時は第1次アニメブームと言われていた頃で、「宇宙戦艦ヤマト」や「うる星やつら」などが人気でした。同級生にもアニメファンは多かったのですが、「サザエさんは毎週変わらないじゃん」というのが大方の意見だったと思います。だから他人には「サザエさん」ファンであることはあまり公言していませんでした。

「罪なきカツオ」など気になるタイトルが…

――やはり少数派だったんですね。では基本的には個人でアニメを見続けている状態が続いていたんですか?

秋葉 いえ、高校生の時にファンクラブを立ち上げようとしたことがあります。「ヤマト」や「うる星やつら」は複数のファンクラブがあったのですが、「サザエさん」にはありませんでした。「サザエさん」の制作会社だったエイケンに電話してファンクラブを作ってもいいか聞いてみたら、「ほんとに『サザエさん』が好きなの? 珍しいね。今度遊びにおいでよ」と驚きながらも喜んでくれました。