「小学生の頃から、日常会話の中で、『死んでこい』『うざい』といじめを受けてきました。ずっと長い間、じわじわと『死ね』と、まるで洗脳されるかのように言われ続けたのです」(母親)

 2019年10月26日、大阪府堺市の中学2年生の女子生徒・トモコさん(仮名、享年13)が自宅を飛び出した。翌日、マンションから転落していたところを発見された。その後、11月に死亡が確認された。警察によると、自殺だった。

 この件をめぐり、堺市教育委員会は2022年3月17日、いじめを認定し、不登校との因果関係があるとする「いじめ重大事態調査報告書」(いじめ防止等対策推進委員会作成)を公表した。しかし、自殺との因果関係は認めなかった。また、いじめの内容は黒塗りになっているため詳細はわからない。

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 トモコさんの遺族に話を聞いた。

取材に応じるトモコさんの母親

10月26日、トモコさん自殺

 10月26日夜、母親はドアが開く音に気がついた。トモコさんは外出したのだ。

「近くの友達の家へ行ったのかと思ったんですが、そのうち、救急車のサイレンが聞こえました。『トモコじゃないよね?』と思って、寒気がしたんです。翌朝、警察が来て、『すぐに病院に行ってください』と言われ、病院へ向かいました」(トモコさんの母親)

 トモコさんは近くのマンションから転落していた。病院の救急救命室へ行くと、医師に説明を受けたという。

「病院で2時間ほど待ったんです。医師からは“五分五分”と言われました。飛び降りた理由は考えませんでした。私は、トモコが生きていてほしいと思うだけでした。あとから聞きましたが、そのとき、実際は五分五分ではなかったんです。私が受け止めきれないと思って、段階的に受け入れられるように配慮して言ったということでした」