4回開催されたという「いじめ対策委員会」についても報告はなく…
報告書では、学校内のいじめ対策委員会が4回開催されたことになっている。議事録は、トモコさんの死後に作成されたものと判断された。いじめ対策委員会は十分に機能していなかったことになる。母親は委員会が開かれたことを知らなかった。
「私は、トモコの困りごとがあるといつも学校に電話し、教頭先生と話していました。しかし、委員会のことは聞いていません。いつも十分な説明はありませんでした。第4回目では、いじめ解消を認定となっていますが、そのことも聞いていません」
報告書には「最終的には、基本的な考え方と調査の進め方について理解と同意をいただいたものと受け止めている」とある。しかし、堺市いじめ防止基本方針によると、「死亡した児童生徒が置かれていた状況として、いじめの疑いがあることを踏まえ、教育委員会又は学校は、遺族に対して主体的に、在校生へのアンケート調査や一斉聴き取り調査を含む詳しい調査の実施を提案する」とあるが、そうした提案や説明はない。そのため、自殺との関連では、母親が「追加調査」を希望することになった。
「あなたの言葉で人を殺せるんだよ」という問題提起
「追加調査報告書」によると、調査委が認定したいじめは、不登校よりも前に行われたことであり、トモコさんが自殺をする約1年以上前のことだ。不登校の後に、教育センターと医療機関に相談しているが、医師や臨床心理士にはトモコさんは詳しく話していない。また、医師や臨床心理士全員が相談時に抱えていた問題の核心だと見立てていない、として、「責任の重みは、些かも減じられるものではない」としながらも、いじめと自殺の因果関係は認められないと結論づけた。
「調査委には、『なんで亡くなったのか、分かりません、いじめ? 病気? 全部です。事故だとも思いたい』と言ったことは覚えています。報告書では、私がそうお願いしたことになっています。トモコは、自殺に至るまでのきっかけとしていじめがあったと思います。ずっと長い間、じわじわと『死ね』と、まるで洗脳されるかのように言われ続けました。今の心境としては、学校対応の非を認める一方で、1年の不登校はいじめが苦しいからこそであるのに、自殺との因果関係を認めないことは理解できない」
トモコさんの遺族は、詳細な質問項目を挙げた「追加調査報告書」に対する意見書(所見)を提出した。
写真=渋井哲也