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「チェチェン兵に強姦され、殺された…」帰らぬ飼い主を玄関先で待ち続ける"ウクライナの忠犬ハチ公”を襲った悲劇の瞬間《不肖・宮嶋が見たウクライナの真実》

2022/04/13
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餌にも口をつけず、帰らぬ飼い主を玄関先で待ち続ける

 なんでチェチェン兵だったことが分かったかというと、こいつらはこのあと、タチアナさんの隣家にも侵入、若夫婦と母親を連れ去り、また強姦しようとしたところ、上級部隊指揮官と思われるブリヤート人将校に止められたからである。夫人と母親は解放されたが、夫はどこかに連れ去られ、それっきり帰ってこず、のちに殺害されたと分かったという。

 この身の毛もよだつ惨劇を身近で見ていただけでなく、飼い主を守るべく吠えまくっていたのであろうが、力及ばず、リーニアはそれ以降、帰らぬタチアナさんを玄関先で待ち続けている。

近所のネコも慰めにきてくれたのに、リーニアは動かない 撮影・宮嶋茂樹

 犬なのにもはや「吠えない」「動かない」。

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 ただ死期をじっと待っているだけに見える。噂を聞きつけ、餌や水をおいていくご近所さんもいたが、餌に口をつけたようすがない。一月たち、やせこけ毛の艶もなくなり、この日キーウから同じ秋田犬を飼う夫婦が餌をもってやってきたが、それでも餌に口をつける様子はなかった。飼い主ともどもどれほどの恐怖を味わったのか想像に難くない。

4歳の秋田犬を飼う夫婦が餌をもってやってきたが、それでも餌を口をつける様子はなかった 撮影・宮嶋茂樹

 そして飼い主を助けられなかったわが身のふがいなさをうすうす感じている後悔から餌を口にできなかったのか、もはや知るすべもないが、このままやといずれリーニアは飼い主と楽しいひと時をすごしたここ玄関先の定位置で餓死することになる。リーニアがそれを望むのであれば、わしらがすべきことは静かに見守るしかない。それにしても犬という動物がこれほど人間に忠実だったとは、あらためて実感させていただいた。

プーチンやロシア兵による戦争犯罪を裁くことができない

 この悲劇を生んだ張本人、プーチンがこの事実を認めることは決してない。またウクライナ側の自作自演と開きなおるは必至である。実行犯のチェチェン兵のごろつきどもも、今回はその蛮行の一部を止めたことになるブリヤート人も決して名乗りでることはないだろう。ロシア軍にそんなやつは存在しないことになってるからである。

庭には飼い主を殺したかもしれないロシア兵の迷彩服やロシア軍の携行糧食の空き箱や酒瓶などが散乱していた 撮影・宮嶋茂樹

 しかしこれが侵略されるということなのである。侵略したロシア軍を追い返したときがウクライナの勝利になるはずなのに、ウクライナも国際社会もプーチンやロシア兵による戦争犯罪を裁くことができないのである。

 カメラマンは無力である。犬一匹助けることができない。ただこの悲劇を知らせることしかできない。

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