「周りを育てないと」という話に落ち着き、両親に報告はせず
――準奈さんの下駄箱に「死ね、キモい」と書かれた手紙が何度も置かれていたイジメ行為について、なぜすぐに両親に報告しなかったのでしょうか。
「準奈さんからは1カ月遅れて教育相談で報告がありました。『もう1回あったら先生に報告しようと思っていた』と。担任は(準奈さんに)『何かあった時はすぐ報告してほしい』というやり取りをしたようです。その後、私に報告があったのは時間が経ってからでした。その時は、犯人探しもそうですが、『他人を思いやる心を育てる』こと、『周りを育てないとだめだ』という話になった。その時点でご両親に報告していなかったのは事実です」
――イジメのことを保護者に伝えていたら、その後の対応が変わったのではないでしょうか。
「そう言われても仕方ないと思っています。『3、4回そういう事があったけれど、その後はなかった』と教育相談で聞いて、(学級委員をやっていた準奈さんが)リーダーをやっていることが妬みになった、突発性的なものだと思ってしまった。(学級委員が)指示したりすると『いい子ぶってる』と言われることはよくあるので、(イジメが)継続的ではなくて、(その後は)なくなったと聞いて安心してしまったと思います」
「隠蔽した」と言う人たちには何を言っても無駄だと思う
――学級委員だった準奈さんは、席替えの方法を巡ってクラスメイトに詰め寄られ、悩んでいたと聞いています。
「(準奈さんが)11月に学級委員に立候補して、いろいろな司会進行をしていますが、そこでやっつけられたという印象は、担任からの報告では感じなかった。上手くいろいろな意見をまとめて、進めていたと認識していて、重要視していませんでした。『ああ、がんばっていたんだ』と。今後の調査でそのことが原因だとわかったら、前の調査が甘かったと言われても仕方ないと思っています」
――助監督を務めた合唱祭でも準奈さんは一部の生徒から「調子に乗っている」と言われていたという証言がありますが。
「教育相談の内容は共有されているので最低限のことは知っています」
――準奈さんはバレーボール部でも顧問の先生とのことで悩んでいたそうですが、今回の事件と関係はあると思いますか。
「彼女はなんでも言う子だったので、練習についてもズバッと(交換ノートに)書いているんです。彼女はバレーボールで優秀だったので、もっと強くなりたいと。人間関係も先輩たちが良くやってくれていたので、そういう願いはあったと思います。それも記録に残っているし、記録に残っていないことは(教育委員会に)話していないつもりです。親御さんには『これがあった。あれがあった』と説明していますが、準奈さんが顧問に対してどれだけの恨みをもっていたかといえばわからない。憎しみを込めた記述は残っていなかったです」
――下駄箱の手紙の件をすぐにイジメとして保護者に報告しなかった。学校側は隠蔽していたのでしょうか?
「隠蔽というのは意図して出さなかったという意味があると思いますが、そういった人たちには何を言っても無駄だと思う。私が『それは出すな』とか『隠しておけ』とか言う訳がないです。それは先生方も分かっている。担任も何であの時に『(両親に手紙のことを)言わなかったのかな』と考えていると思いますが、それを学校が隠蔽したと言われるのなら、そういうことなんだなと思うしかないです。説明しろと言われれば、丁寧に説明します」