加害者生徒も育てていくのが私たち
――「死ね、キモい」と書かれた手紙の報告の遅れや「いじめに関する保護者アンケート」の取り違えがなければ、準奈さんの命は救えたと思いますか。
「アンケートの取り違えについては、その後の調査の内容が大きく変わったかどうか、それはなんとも言えません。ただ、11月の段階で(イジメの)メモのことが保護者に伝わっていたら、保護者の意向が入ってくるのでそれは違っていたと思います。(準奈さん)本人とのやり取りの中で我々が安心してしまっていた。(イジメが)断片的であってもその後に続いていた可能性もあるので、それが再調査で問題になっているのだと考えています」
――「死ね、キモい」と書いた手紙を準奈さんの下駄箱に入れた加害者生徒は今も学校にいますが、その生徒に対してどう思いますか。
「その子たちも育てていくのは私たちなので。入学してからはすべて私たちの生徒です。『育てきれずにああいう事になってしまった』という部分への思いが大きい。私たちが良いことと悪いことを学校生活の中で教え切れていなかったという悔いが大きい。命の重さの話が出てしまうかもしれないが、私たちは(加害者も被害者も)どちらも教えなければいけない、支えなければいけない、という使命を持っている。
イジメた子を庇うつもりはないが、学校側が教え切れていないということです。心の育成とかを急務に、朝の会とか帰りの会とか、道徳の時間を使って『人を思いやるとはどういうことか』ということを担任が語ってくれていたと思いますが、その時点ではそういう話しかできなかったというのも事実です」
加害生徒からの謝罪や反省もないまま7カ月
――イジメをしたのではないかと名前があがった生徒は聞き取り調査でそのことを認めていますか。
「認めていません」
――加害生徒からの謝罪や反省もないまま7カ月が過ぎました。改めて思うことはありますか。
「(生徒たちを)育てきれていない自分たちは、学校に残っている人たちもそうですけども、責任を感じていかなければならない。本当に取り返しのつかないことをしてしまったし、(準奈さんを)学校で死なせてしまったことは自分の責任です。申し訳ないという気持ちです。すべてを受け入れたいと思う」
前校長からは謝罪や反省の言葉が繰り返された。どんな言葉を口にしても、もう準奈さんが戻ってくることはない。
父が語った「娘を愛した13年間」
「この家は部屋でたくさん遊ばせてあげたいと、せっちゃんが生まれたのをきっかけに買った家です。でも、もう本人はいません。仕事から帰ってくると、辛くて仕方がありません。娘を愛した13年間は本当に幸せしかありませんでした。今は悔しさしかありません……」
そう父親は泣きながら肩を落とした。部屋にあった準奈さんのバレーボールが寂しく見えた。
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10月1日(金)22時からの「文春オンラインTV」では本件について担当記者が詳しく解説する。
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