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1年中日焼け、銀座で豪遊、押尾学と盟友…自民公設秘書がコロナ貸付金“違法口利き”

 押尾氏のSNS(昨年4月6日付)には、村上氏との2ショットも投稿されている。そんな交友関係を誇る村上氏が、コロナの流行を機に力を注ぐようになったのが“貸金業”だった。

「私を通してくれれば、すぐに融資が下りますよ」

 冒頭のA氏が振り返る。

「村上氏とビルの一室で初めて会ったのは、20年初夏のことでした」

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 まず村上氏はこう自慢気に経歴を披露したという。

「永田町で20年以上働いてきた。大臣政務官の秘書官もやったし、政府系金融機関にコネがある。国家公安委員長の秘書もやったので、警察にも人脈があります」

 そして、話題は本題へと入っていく。

「私を通してくれれば、すぐに融資が下りますよ」

 そう語る村上氏から示されたのは、〈新型コロナウイルス感染症特別貸付について〉と題された資料だった。安倍政権は20年3月上旬、コロナの影響で売上が減少した事業者向けに日本政策金融公庫(公庫)などを通じ、実質無利子の特別な融資制度を創設。いわゆる“コロナ貸付金”だ。

 資料にはその説明に加え、以下のような記載がある。

〈融資が実行された場合のみ成功報酬として、融資額の5%プラス消費税をお支払い頂きます〉

資料には「融資額の5%」との文言が

 末尾に明記されていたのは、〈TMoneトラストホールディングス株式会社 代表取締役社長 村上太一〉。この会社が商号変更したのが、前出のTM社だ。

 A氏が続ける。

「彼の言葉を信じ、公庫に申請したところ、2週間程度で1000万円弱の融資が下りた。その5%を村上氏の会社に支払いました」

社名や村上氏の名前、押印がある請求書を入手

 村上氏の力を借りたのは、A氏だけではない。20年夏に、公庫から融資を受けたB氏が証言する。

「村上氏の会社関係者から電話で、支店担当者を紹介されました。指定日時にビルへ行くと、2階の個室へ通された。若い男性職員が『先生からお話はお伺いしています』と切り出すので、数千万円の融資を申請したんです。当時、公庫の融資は全国の事業者から申請が殺到し、手続きが滞っていた。ところが、通常なら2カ月かかる融資が僅か1週間で下りた。すぐに5%の手数料を支払いました」

 さらに20年7月、村上氏を通じて融資を受けたC氏もこう語るのだ。

「知人から村上氏の会社を紹介されました。公庫での面談は30分程度。1カ月足らずで3000万円の融資が下りた。5%分の150万円を支払いました」

村上氏の会社からの請求書

「週刊文春」は彼らの証言に加え、TMone社からの請求書も入手。社名や村上氏の名前、押印があった。実際にTMone社に振り込んだ通帳記録も確認している。