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不動産の相続は「時価」によって評価されるが…

 不動産の相続にあたっては、相続税法22条において相続時点での「時価」によって評価する旨定められている。そして控除できる債務の金額についてもその時点での現況によって決められるとされる。

 さらに財産評価基本通達において、時価とは不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額とされる。つまりマーケット価格に近いものと考えられる。

 だが、実際の不動産の相続税評価は土地については路線価評価額、建物については固定資産税評価額で算出する。路線価は一般的に土地の時価とされる公示価格の約8割の水準とされるので、もうこの段階で時価よりも安い。ましてや地価高騰時には時価は公示価格の2倍、3倍に跳ね上がることも珍しくない。したがって相続評価における物差しであるはずの時価は実際の時価よりも「相当に安い」のだ。

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相続財産評価額を24%にまで圧縮

 さらに借入金額を評価額から控除できるというのであれば、現金で持っていれば額面で課税されてしまうのに対して、マンションなどの不動産に替えて、さらに借入金をつけておけば、税金を大幅に節減したうえでマンションという財産にして子や孫に引き継げるというわけだ。

 さて、この手法を使ってマンションを購入したBさんは平成24年6月に亡くなる。上記手法で計算したマンションの相続財産評価額は2つあわせて3億3300万円と、購入した時の合計金額13億8700万円のなんと24%相当にまで圧縮できたのだった。購入してわずか3年程度で時価が4分の1まで下がるわけはない。マンション投資が財産評価額を圧縮する魔法の杖であることを物語っている。