「殺すのは調べたら、ものすごく大変なんですよ。相手は意識がないでしょ。そこで手足を用意してた結束バンドで縛って、ロフトに縄をかけて絞まるように首吊り結びで輪を作り、そこに首を入れて、足はついている状態だけど首が絞まって、死んだんです……」
「それで、死ぬんだ……」
「首を輪にかけて手を放すとプランとなるでしょ。そのときに(尿を)漏らして、それからブルブル、ブルブルと痙攣(けいれん)したんです。30分放置したら、体温がなかったですね」
「正直……ものすごくドキドキしました」
白石は淡々とした口調でそこまで話す。
「どんな気持ちだった?」
「正直、運動をしていないのに、ものすごくドキドキしました……」
当初は殺人に性的な興奮を覚えることはなかったと、みずから明かす。
「性行為での興奮はありましたけど、死体にはなかったですね。ただ、何人も殺して後半になると、それが生まれて、写真を撮ったりもしました」
ここで、残り時間は5分だと告げられた。いつもならば事件の話はその段階で打ち切るが、白石はまだ話したいことがあるのか、言葉を続ける。
「1人殺しただけだったら、まだ先があるというか、お坊さんになって供養したり、そのあとに反省を繰り返したりできると思うんです。でも、9人もやったから、もう無理じゃないですか」
そう口にすると、彼は手先で自分の首を切るポーズをしてみせる。
「だから、もういいや、どうだって、って……。家族とかがやって来て、なんとか生き抜いてほしいみたいなことを言われることもないし、あと、面会に来るのも仕込みだったりして信用できないし、弁護士も口だけだし、ほんと、どうでもいいやって気になってるんですよね……」
控訴をしたくないといった話は、こうした自棄(やけ)になっている気持ちが言わせたのだと理解した。私は「俺も事件の話だけじゃなく、あなたの内面の話が聞きたいと思ってるから、また思うことがあったら聞かせて」と言い、彼は無言で頷いた。
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