「正直、痛いのはイヤだなって感じです」
「まあ、ついに来たか、という感じですね。1年くらい前に週刊誌の取材を受けて、裁判を簡潔に済ませたいという意向があると話したんですけど、そのときに弁護士は(初公判は)昨年末か今年の頭って言ってたんです。だから、やっとかって感じですね」
「死刑判決についての不安は?」
「いろいろ本を読んで、(死刑の)執行内容を知ったんですね。まあ、痛そうなんですよ。正直、痛いのはイヤだなって感じです。ただ、裁判で争いたくないし、かといって、絞首刑痛そうだしってのがあるわけで……」
「9人を殺害したっていうのは、やっぱりカネ目的ということ?」
「まあ、おカネと性欲と、あと、3人目の男性については証拠隠滅のためですよね。前にも話しましたけど、1人目はおカネを借りて、返せない、返したくない。それ以降はただ単に現金を奪うためですよ」
さらに白石は“持論”を展開する。
「自分のなかにフローチャートがあって、出会ってまず、おカネがありそうかどうか判断するんですね。おカネになりそうだったら、付き合っておカネを引っ張って、おカネにならなそうなフローチャートの人はレイプする。ほんと、殺人の理由はおカネと性欲ですよ。まあ、3人目の男性以外はそうです」
白石は被害者9人を殺害した理由について、そう振り返った。そこで私は聞く。
「亡くなった方への気持ちはどうなの?」
「本音を言うと、なにも思ってないんですよ」
白石は即答する。そしてちょっと間を空けて言いかえた。
「他の事件とかを見ても、(被害者や遺族に)謝る人はいますけど、僕の場合は遺族に対してはなにも思わないですね。まあ、被害者に対しては、少しは思うことがあるんですけど……」
それは連続殺人の現場となったアパートの部屋を借りる費用を肩代わりし、最初に殺したAさんに対してだという。
「初めての殺人でしたけど、一緒に過ごしたのが長かったので、情が移ったというか、かわいそうなことをしたかな、という思いはありますね。ただ、2人目以降については、正直、なにも思ってないです」
そこまで話を聞いたところで、私は6回目と7回目の面会で話に出た、彼が付き合いながら殺害していない、32歳のマッサージ師の女性・Xさんのことを頭に浮かべた。SNSで知り合ったという彼女とは、2017年の8月上旬から、逮捕直前の10月中旬まで付き合っていたと聞いている。私は、なぜ殺さない女性がいたのか尋ねた。