白石が3人の女性を“殺さなかった”理由
「おカネになりそうだったからですね。その女性のオゴリでご飯を食べたり、ホテルに行ったりしてましたから。部屋に入れて殺してないのは、彼女を含めて3人います。1人目は2カ月付き合ったその女性(Xさん)。2人目は部屋に10日間泊めて、飯をオゴってもらったり、生活費を出してもらったりした女性(Yさん)。 3人目は口説いたけど、私に魅力がなくて、口説く力が足りなくて、そのまま帰ってもらった女性(Zさん)です」
「3人目の人のときは、なんでダメだったんだろう」
「総合力じゃないですか? 足りないのは。部屋とかも大したことないし……」
この3人目の女性については、白石がレイプをして殺してしまうこともあり得たのではないかと思ったが、そのときはすんなり帰してしまったのだという。
ただ、1人ではなく3人の“生還”した女性がいたというのは、初めて聞くことだった。この件については、次回もう少し詳しく聞こうと心に決める。そして話題を変えた。
「ターゲットを見つけるために、ツイッターを使ったのはどうしてだったの?」
「スカウト時代にツイッターを使ってスカウトをやってて、その結果が良かったんですね。だからです。実際、それでうまくいったし」
「さっき、裁判で争いたくないって言ってたけど、それは本心?」
「争うつもりはないですね。証拠と調書がガチガチに固まってるじゃないですか。いまの状況を冷静に判断すると、争っても変わんねえんだろうなって。それなら、潔くやろうかな、と……」
そこまでを口にしたところで、白石は身を乗り出してきた。
「もうね、弁護士がほんとにひどいんですよ。前に弁護士を変えたときも同じ理由なんですけど、こっちが『争わずに進めていただけますか?』と聞いて、向こうが『わかりました』というから任命したんですよ。で、時間が経ったら、手のひらを返したように、『白石さん、争わせていただきます』って……。で、解任請求をしたんですけどダメで、差し入れだけをしてもらってるけど、信用はしてないですね。本当に卑怯だと思いますよ」
弁護人としては、依頼者の利益を考えてそのような選択をしたのだと思うが、白石にしてみれば、自分の意に沿わないということが、とにかく気に入らないようだ。