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危険な向精神薬「ラボナ」入りの“伊沢スペシャル”

 伊沢容疑者のこの行為自体に違法性はない。しかし、服用の危険性が指摘されて販売中止になったものより強い薬を自ら“配合”して安全性は担保されていたのだろうか。

 A子さんによると、「患者さんのなかにはラボナという強い向精神薬入りの“伊沢スペシャル”を出されている人もいた」という。

インタビューを受けるA子さん

「ラボナは保険適用では1日3錠×14日分が一度に処方できる限界なんですが、東京クリニックでは1日最大4錠出してくれるので、1回につき全部で56錠もらえるんです。これ目的の患者さんもたくさんいましたね」(A子さん)

 前出の医療関係者はラボナについても、「危険性が大きいため各種ガイドラインで『使用を控えるべき』『推奨されない』『現在はほとんど用いられない』などとされており、まともな精神科医療機関ではほぼ扱われない薬だ」と警鐘を鳴らす。

 さらにA子さんは続ける。

「実は私のお薬手帳に記載されている薬は、すべて私のものではないんです。伊沢先生が私の名義で必要な薬を処方し、『後でちょうだい』と言われることもしょっちゅうでした。この○が付いている薬は、後で伊沢先生に渡しています。私以外にも他の患者の保険証を借りて、自分用の薬を処方していたこともありました」(A子さん)

 ○がついている薬を見てみると、アモキサン、パロキセチンといった、副作用が強く劇薬指定されているうつ病患者用の薬もある。

A子さんの「お薬手帳」

 A子さんによると「薬はほとんどが保険適用されていた」という。もしそれが事実であるならば、伊沢容疑者には、他人の保険証を使って薬を入手した 詐欺罪や健康保険法違反に抵触する可能性がある。また、処方のために書いたカルテに虚偽があれば医師法違反罪にもあたり得る。

「オゼンピック」処方に虚偽診断はなかったか

 伊沢容疑者と交際中、「東京クリニックでお手伝いをしていた」というA子さんは、伊沢容疑者がほかの患者の診察でも無尽蔵に薬を処方する姿を見てきたという。A子さんによると、東京クリニックを訪れる患者の男女比は半々程度。女性は、ダイエット目的で糖尿病の治療薬オゼンピックや利尿剤の処方を希望することが多かったようだ。

A子さんのお薬手帳にも「オゼンピック」の文字が

「ダイエット目的でオゼンピックを処方されている女性患者さんは多かったです。なかには保険適用されている方もいらっしゃいました。2月にオゼンピックの流通が止まった後は別の薬になりましたが、それまではオゼンピック目的の患者さんがたくさん来院していました。オゼンピックは普通の病院だと欲しいと言っても簡単には出してくれませんから」

 オゼンピックは糖尿病の治療薬のため、そうでない患者に保険適用で処方することはできない。糖尿病でない患者を糖尿病であると虚偽の診断をし、処方していたとなれば大きな問題になる。

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