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小さい池に漬物石を投げ込むぐらいのインパクト
そして、勤勉の精神で高度成長を成し遂げたのだという神話は、単なる多産多死から多産少死、そして少産少死という人口学的なダイナミズムが医学・公衆衛生の発達によって作り出した人口ボーナス期による代物だということを知ると、他国が日本のように次々と成長していくごとに成功体験は貴重な財産から古びた資産となり、やがて社会を停滞させる負債となるのであります。
いまの日本と中国の関係は、いつか日本が経験した道を違う形で中国もまた追い、追い越し、やがて何らかの形で破綻から低迷へと向かう一本道で競う旅路にすぎないのだとしたら、彼我を比較し、喜んだりがっかりしたりすることそのものが無駄なんじゃなかろうか、とすら思います。将来への不安や自分がうまくいかない怒りを、政府や社会が悪いと言ってぶつけたり、中国や韓国が悪いと貶めたりすることが本人の人生においてさほどの価値を生まない以上、ただ泰然と現状を認め、足るを知り、いちいち動揺せず自分のできることをしっかりとやって納税し、きちんと正しく暮らしていくしか方法はないのかもしれません。
その意味でも、藤田さんのルポが投げかけたものは小さい池に漬物石を投げ込むぐらいのインパクトはあったであろうし、実際に中国を長年見てきた山谷安田おっさん対談とか唸るものがあるし、人生が神から与えられたささやかな暇つぶし時間だとするならば、こんなに興味深い議論が次々とあって欲しいと切に願う次第です。