「1つ、1つか……。『パリピ孔明』だな」
――「アニメオタクが女の子を救出!」っていうニュース、見てみたいです。
オーカーン だろう? 「名乗るほどの者じゃございません」とか「体が勝手に動いた」と決めセリフが咄嗟に出てくるのもアニメの影響だ。プロレスだってそうだ。あのリングは全員が主人公になれる場所だから、主人公らしいセリフがよく似合う。それを厨二病と言うやつもいるかもしれんが、余は漫画やアニメの主人公のようになることを諦めていないからな。いつ少女が空から降ってきても受け止められるし、角を曲がる時は食パンをくわえた少女とぶつかる準備ができている。
――4月から新しいアニメが始まっていますが、今クールのお気に入りがあれば1つ教えてください。
オーカーン 1つ、1つか……。「パリピ孔明」だな。オープニング、エンディングがすごくいいし、ヒロインの英子もタイプだ。余は移動中、主題歌の「チキチキバンバン」をずっと聴いておる。余が所属している「UNITED EMPIRE」というユニットの外国人レスラーたちはクラブ大好きでな。あいつらと「パリピ孔明」のおかげでクラブの楽しみ方がようやくわかってきたところだ。あれは踊らにゃ損じゃ。余はこれまでどちらかと言うと"陰の者"で休日は王宮にこもってアニメを見ることが多かったんだが、今はクラブにハマりそうだ。
――確認しますがオーカーンさんはヒールレスラーで、カーンというくらいですから皇帝でもあるんですよね……?
オーカーン その通り皇帝じゃ。余はプロレスが嫌いだからヒールとかはよくわからんが、対戦相手の頭を掴んで靴を舐めさせたり、顔の上に座ったりはしているからな、悪党と言われればその通りだろう。余はレスラーたちに完全勝利したうえで、肉体的にも精神的にも苦痛を与えることで完全に平伏させたいと思っている。余がプロレスの試合を「処刑」と呼んでいるのもそういう理由だ。
――「実はいい人」という声もありますが。
オーカーン それは悪党の矜持というものを理解していない愚民の発想じゃ。社会にルールがあるように、リングにもリング特有のルールがある。余が支配を目論んでいる相手はレスラーたちだからな、素人に手をだすことはない。この矜持を教えてくれたのも「とある科学の超電磁砲」のアクセラレータという悪役じゃ。時々「ここから先は一方通行だ」というセリフを口走ってしまうくらいには影響を受けている。奴は自分の力を間違ったことに決して使わず、大事な女は絶対に守る男だ。