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薬剤師の勤務先として、病院は人気?

――国家試験に合格して晴れて薬剤師となり、最初は病院で勤務されていたとお聞きしました。薬剤師の勤務先として、病院は人気があるのですか?

三浦 私の時代は、就職先が病院と調剤薬局とMR(製薬会社の営業・広報担当者)の3つにきれいにわかれていて、特にどこが人気というのはなかったと思います。

 私が病院で働きたいと思ったのは、患者さんが病院を受診してから処方箋が出るまでに誰がどんな手続きをしているのか、全体の流れを知りたかったからです。薬剤師以外のスタッフがどんな仕事をしているかも学べると思い、病院を選びました。

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 今は、ドラッグストアの人気が高いみたいですね。お給料が高めなのと、最近は調剤をするドラッグストアも増えているので、「調剤もできるなら……」と選ぶケースが増えているようです。

――新米薬剤師・浜菱愛莉の友人はMRという設定です。ネットなどでは、「MRは医者の犬」「医者の下僕」という書き込みも見られますし、激務過ぎて人気がないのかと思っていました。

三浦 MRは、薬の情報を提供するための大切な仕事です。私もよく製薬会社に問い合わせをしたのでお世話になりました。確かに10年以上前は、MRによる医者への接待が過剰だった時代もあったようです。

 でもいまは、接待やノベルティの配布が禁止されていますし、営業環境も大きく変わっています。それにMRは、病院と違って休日や祝日はしっかり休める、というのが魅力です。「GWに10連休取って旅行に行く」なんて話を聞くと、週6日勤務だった私には別世界のようでした。

天然の愛莉に葛󠄀は… (第1巻第2話より)

薬の名前を覚えるのが大変

――週6日勤務って、労働基準法違反にはならないのですか? 

三浦 終業が早めだったので、規則的には問題なかったです。しかしもちろん定時で帰れるはずはないので、月~土フルで働いていました。

 でも大変さでいえば、勤務形態よりも私は薬の名前を覚えるほうが大変でしたね。大学では成分名で勉強している薬が、現場だと商品名しか通用しないんです。たとえば、解熱鎮痛効果のあるロキソプロフェンナトリウム水和物という成分は、「ロキソニン」という商品名で呼ばれています。これは似ているのでかなりわかりやすいですが、同じ解熱鎮痛効果のある成分、ジクロフェナクナトリウムが「ボルタレン」という商品名で使われていることは、覚えていないと答えられません。成分名だけ覚えていても、医師や看護師に通じないんです。

 入局してすぐは、まったく言葉の分からない外国に入り込んだかのようで、よく知っている薬なのに答えられないことも多く、落ち込むことばかりでした。常に薬の本を持ち歩き、時間があれば本を開いて、成分名と商品名を紐づけるという作業を毎日繰り返していました。今は、後発品の商品名が成分名そのままだったりするので、少しは覚えやすくなってるのかな。