薬剤師の存在をもっと活用してほしい
――私も待たされた挙げ句、食前と食後に飲む薬を2種類処方された時に、「これ一緒に飲んじゃダメなんですか?」と薬剤師さんに怒りをぶつけたことがあったと思い出しました。すみませんでした……。
三浦 そんなの全然クレームに入りませんよ! むしろ薬に対して興味や関心を持っているからこそ出る質問ですから、ウェルカムなくらいです。
「食後」と処方されても、成分によっては食前に飲んでも問題ない薬もありますので、「こんなこと聞いていいかな」などと思わずにどんどん聞いていただければ、食前に一緒に飲めるとアドバイスしたり、別のお薬に替えたりすることもできます。そのために薬剤師が存在しているので、もっと活用してください、と私は患者さんにお伝えしたいです。
薬局のアンケートは重要なもの
――「疑義照会」に関しては第1巻の第4話で詳しく解説されていますが、薬局のアンケートにこんな深い意味があったこともはじめて知りました。
三浦 やっぱり……。読者の方も、アンケートは世間話だと思っている方が多かったんですよ。
元薬剤師としては、患者さんも当然アンケートの必要性を理解して書いてくれていると思っていたんですが、マンガの反響で患者さんの大半がアンケートの重要性を認識していないということをはじめて知りました。
でも、よく考えたら、これまでは大学でも職場でもまわりに薬剤師しかいなかったので、客観的に薬剤師を見たことがなかったんですよね。この回は、薬剤師仲間からも「アンケートの重要性を描いてくれてありがとう」と感謝されましたが、「薬剤師が何をしているか、世間では知られていない」という事実に気がつけたという意味でも、描いてよかったと思っています。
「待合室に『処方箋上のアリア』を置いている」と言ってくれる薬局もあり、薬剤師の発信の役に立てているのかなと嬉しく思っています。
――今ふりかえって、薬剤師になってよかったと思われますか?
三浦 はい。夢だったマンガ家として、大好きなミステリー風の作品が描けているのは、薬剤師という経験があったからです。それに、友人たちから頼ってもらえるのも嬉しいです。身近な人が知りたいことは、患者さんも知りたいことだと思うので、友達には「薬の悩みや相談があれば、どんどん聞いて!」と言っています。
あとは、普段から薬のデータを見ているので、広告のグラフや実験方法などを見たとき、おかしいものはすぐに気づけるようになりました。SNSに出てくる広告は怪しいものが多すぎます……。全部疑ってしまって素直さが失われたという点はデメリットかもしれません(笑)。