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「『9割が飛ぶ』と言われる世界で…」47歳の普通のOLが、“受刑者専用”の求人雑誌を作った数奇な経緯

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――求人誌という形にたどりついたのは何故だったんでしょう。

三宅 ボランティアを通して犯罪歴や非行歴のある人と会って話を聞く中で、彼らが仕事を見つけ社会復帰することの難しさを知りました。家族から絶縁されて帰る家もなく、住所がないため仕事も探せず、ネットカフェなどに泊まっているうちに所持金を使い果たして、3食布団付きの刑務所に戻るために再犯……という人も多い。だから仕事と住居を見つけることが大事だと思って、2016年からまずは犯罪歴や非行歴のある人向けの有料職業紹介事業を始めました。でもこれが全然うまくいかなくて……。

©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

――どうなったのでしょう。

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三宅 最初は紹介事業だったので、私が元受刑者と面接して「この人なら大丈夫、一生懸命頑張ってくれる」と思える人を企業に紹介するんですが、なかなかうまくいきませんでした。1年半で面談したのがたったの20人で、うち5人が内定をもらうことができたのですが、その5人が次々と行方不明になったりトラブルを起こしたりしてクレームが来るので職業紹介事業としてまったく機能せず、2018年の年明けには会社の資金もショートして事務所を借り続けられないような状態になっていました。

刑務所の中ではインターネットが使えない

――たしかに、有料職業紹介事業の場合、紹介した三宅さん側の責任が大きいですよね。

三宅 そうなんです。でも最大の課題は、出所後の就職先に困っている人に、私たちの存在が知られていないことでした。会社のホームページはあるけれど、刑務所ではインターネットは使えません。出所したら1日でも早く就職先を見つけることが再犯を防ぐことになるので、刑務所の中にいる時から就職活動を始められれば……と考えていた時に、ふと目に入ったのが求人誌でした。インターネットが繋がらない塀の中でも、紙の雑誌ならば受刑者にも情報を届けられる。それに紹介じゃなくて求人誌なら、応募者と企業との直接のやり取りになるからクレームになることもない。しかも求人誌であれば企業からの広告掲載料が入るから、その範囲で回していけばいい。じゃあ受刑者向けの求人誌を作って配っちゃおう、と。

©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

――刑務所に配るのも掲載企業を集めるのも大変そうですが、どうやってクリアされたんですか?

三宅 法務省に相談したところ “最初は関東圏を中心にやってみましょう”と言ってくださり、8庁の少年院・刑務所に配布させてもらいました。創刊号に求人を載せてくださった13社の掲載企業は、自力でかき集めました。建設会社のイベントに参加してプレゼンをしたり、昔ワルで現在社長になっている知り合いに声をかけたり。そういう方が元受刑者を雇うことへの抵抗がありませんから。たった13社しか掲載企業がない状態で求人誌を刊行するにも勇気がいりましたが(笑)。

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